ロシアで開発された感染症患者のための隔離設備

モスクワ郊外で開催された国際軍事技術フォーラム「アーミー2020」では、ロシア国防産業複合体(OPK)の研究機関による非軍事目的の製品も出展された。その中の一つが、危険な感染症患者、あるいは感染症疑いのある患者のための簡易隔離設備である。この設備は一体どのようなものなのか?
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ロシア政府指導部は数年前から、OPKの企業や研究機関に対し、民需産業製品の開発を急速に拡大するという課題を提示していた。これに際し、政府は、製品は超近代的でハイテクであることという厳しい条件をつけていた。

今年、世界を襲った新型コロナウイルスの感染拡大により、ロシアの開発者らは、ときにこれまでとはまったく分野で、さらに知恵を絞らなければならない状況に置かれることとなった。

感染症に挑む通信技術開発者

軍事技術フォーラム「アーミー2020」でそんな開発の一つを展示したのが、モスクワ通信・制御システム学術研究所である。

スプートニクからの特別インタビューに答えた研究所の民需製品開発部門のアナスタシヤ・ニコラエワ部長は「わたしたちは簡単に運ぶことのできる、感染者、および感染症疑いのある患者のための隔離設備を出展しました。設備は2つのモジュールで構成されており、1つは2メートルのボックス、もう1つが特殊処理室、つまり消毒を行うモジュールとなっています。このモジュールにはフィルター式の換気ユニットがあり、これは同時に、設備内の気圧を80パスカル(0.6水銀柱ミリメートル)に下げることができるものです。これは、バチルスやインフルエンザウイルスA型、B型(もっとも感染力が強い)を外に漏出させないために十分な気圧です」と語っている。

完全なる隔離 

アナスタシヤ・ニコラエワ部長によれば、導入されているフィルターもまったく新しいもので、H14グレードHEPA(高い空気清浄能を持つ超高性能フィルターで、洗浄力は粒子捕集率は99.97〜99.99%)を使った純ロシア製である。使用済みフィルターは、一般的な過酸化水素で簡単に洗浄すれば、繰り返し使うことができる。またこの換気ユニットには換気センサーがついており、フィルターの汚れ具合が表示される。設備内部の換気は1時間に20回以上行われる。

特殊処理モジュールには除菌設備が備え付けられている。5つの噴霧器が付いており、5秒、10秒、15秒の3つのパターンで噴霧を行う。噴霧器には100リットル容器が2つ(消毒液用と使用済み消毒液用)、使用済みの溶液をモジュールの床から吸い上げるポンプが付いている。床に溜まった使用済み消毒液の高さが2ミリを超えると、センサーが働き、ポンプが稼働するシステムになっている。これによっても、感染源を外に出すことを防ぐことができるのである。

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またニコラエワ部長は、「設備自体はエアフレームテントになっているため、簡単に運べます。設営するのに15分もかかりません。ちなみにこれとは別に、金属フレームのものもあります。設備は、常設の病院に場所がないというとき、すばやく組み立てることができます。この設備では感染症疑いの患者を受け入れ、院内感染のリスクを回避しつつ、落ち着いて診察を行ったり、検査をしたりすることもできるのです。設備内の滞在時間に上限はありません」と話す。

ロシアの通信技術開発者によって作られた隔離設備は、バイオトイレを含む、必要な衛生設備がすべて整えられている。ただし、設備は、何もない場所に設営することはできず、格納庫、展示場、屋内スタジアム、大きなテントなど、野外病院になる施設の中に限られる。また設備内は外気温より低い温度に保たなければならない。屋外用の同様の設備は、8人から10人収容できるテント形のものが別に開発されている。ボックスは複数のモジュールから成り、収容人数を4人、6人、8人、あるいは12人にまで拡大することができる。

製品は現在、認証を受ける段階にある。そこで、現在の新型コロナウイルスの状況に見られるような「疫病の大流行」の打撃を受ける医療分野の専門家たちに注目されることが期待される。しかし、世界には、インフルエンザや重症急性呼吸器症候群、非定型肺炎(SARS)、コレラ、ペスト、天然痘、チフス、マラリア、結核など、人類を脅かし続けている古くからの感染症もまだ存在している。

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