ザハロワ報道官はユーチューブチャンネル「ソロビヨフ・ライブ」に出演した中で、ドイツ政府の対応に不満を漏らした。
ザハロワ報道官によれば、連邦最高検察庁による公式な情報提供要請や、最初にナワリヌイ氏の救助活動を行ったオムスク州の医師らによる照会にもかかわらず、ドイツ側からは全く回答が得られないという。また、医療機関連合「国家医療院」のレオニード・ロシャリ会長がドイツと共同で医師団を創設し、事件の原因解明に当たることを提案した点についても、ドイツ側は沈黙を守っている。
ザハロワ報道官は「何の回答も得られない」と憤りをあらわにし、「台本は事前に用意されていたという、決定的な印象が残るばかり」とコメントした。
また、ドイツ政府はナワリヌイ氏の対応について担当窓口を決定していないことから、ザハロワ報道官は公式情報の発信源が固定化されていないとして不満を漏らしている。
アレクセイ・ナワリヌイ氏に何が起こったのか
野党党首のナワリヌイ氏は8月20日にトムスク(西シベリア)からモスクワに向かう途中の飛行機内で体調が悪化。飛行機はオムスク市に緊急着陸し、同氏は病院に搬送された。当初44時間はオムスク市の病院で処置が施され、体調悪化から2日後にドイツ「シャリテ」病院に移送された。
ドイツ政府の発表によれば、ナワリヌイ氏は「ノビチョク」クラスの物質で毒殺未遂が図られたという。この物質は、スクリパリ氏への使用に関する調査結果で広く知られるようになった。ナワリヌイ氏陣営は、同氏の社会的活動を理由にロシア当局が殺害を試みたと非難している。一方、オムスクの医師らは中毒について言及していない。
ドイツ側の声明に対してロシア政府は、多くの西側諸国もノビチョク級の物質を開発していると指摘している。