アビファビルは、ロシアの製薬会社KhimRarと出資元のロシア直接投資基金(RDIF)共同で開発された。同薬は世界17ヵ国に供給される予定。
アビファビルは、世界で初めて承認された新型コロナウイルス薬。同薬の供給先は、サウジアラビア、ブラジル、チリ、コロンビア、セルビア、アルゼンチン、エクアドル、エルサルバトル、クウェート、パナマ、パラグアイ、スロバキア、南アフリカ、アラブ首長国連邦、ウルグアイ。
ロシアは、アビファビルを5月29日に承認した。同薬はロシア連邦の70以上の地域で行われた新型コロナウイルス薬としての臨床試験で有効性を示し、6月以降にはベラルーシ、ボリビア、キルギスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンがアビファビルを購入。
ファビピラビル(アビガン)の有効性は、ロシアでの臨床開始から数ヶ月後に日本の富士フイルムホールディングスによって確認された。
ロシアの新型コロナウイルス薬の中でもリーダー的存在となったアビファビル
RDIFによると、4月以降に感染した400人以上の新型コロナウイルス患者にアビファビルを投与したところ、他のロシアの製薬会社が製造したファビピラビルよりもその有効性が認められた。アビファビルは欧州、中東、アジアの各機関でも承認され、ロシア初の新型コロナウイルス薬として輸出される医薬品となった。
RDIFも指摘しているように、アビファビルは、米国開発のファビピラビルをベースにした薬でレムデシビルよりもはるかに安価。
RDIFのキリル・ドミトリエフ総裁は、「ロシアでファビピラビルをベースにしたアビファビルが世界初の新型コロナウイルス薬として承認された際、日本ではまだアビガン(ファビピラビル)が承認されていないのにどうやって承認できるのかと、多くの人々が理解できず、懐疑的な意見がたくさん寄せられた」と述べている。
「日本は5ヶ月間に及ぶ臨床試験を行い、そして今、その有効性が確認された」
RDIFのドミトリエフ総裁は、ロシアの35の医療センターで実施された臨床試験に加え、承認後に感染者940人を対象にした臨床試験でアビファビルの有効性を検証したことを強調した。同総裁は、このアビファビルの臨床試験について、
「ファビピラビルをベースにした新型コロナウイルス薬の臨床試験としては世界最大規模」と評し、「我々が行った大規模な臨床試験と、新型コロナウイルスに対する有効性が確認された日本のアビガンの臨床結果をもとに、アビファビルをはじめとするファビピラビルベースの薬剤が、新型コロナウイルス薬として世界をリードすることになると考えている。その上、アビファビルの価格はレムデシビルの3から4分の1である」と指摘している。
臨床試験で「アビファビル」の有効性が確認
アビファビル承認後に行われた臨床試験では、服用した感染者の回復が早く、症例の30%でウイルスが早期に排除され、血中酸素濃度が従来の治療法に比べて2倍の速さで正常値に回復した。また、アビファビルの副作用は報告されていない。
9月23日に報道されたところによると、日本国内でのアビガン(ファビピラビルがベースの抗インフルエンザ薬)の第3相臨床試験で、重症以外の肺炎患者の回復期間が短縮したことが確認された。
RDIFは、8月11日にロシアで承認された世界初の新型コロナウイルスのワクチン「スプートニクV」の開発にも加わっている。ロシアは現在、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、インドネシア、ブラジル、インドなど少なくとも20か国から10億回分のワクチンの供給要請を受けている。