アジア太平洋地域における外交の活発化は何をもたらすのか?

10月は東アジアおよび東南アジアで数々の外交行事が予定されている。中でもまもなく行われるのが、10月6日に東京で開かれる日米豪印による外相会談である。
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新型コロナウイルス感染拡大後初となる日米豪印の4カ国会合

今回の会談では、アジア太平洋地域情勢とコロナウイルス感染拡大のその後が、重要なテーマとして扱われることになると見られている。会合には、米国からマイク・ポンペオ国務長官、日本から茂木敏充外相、豪州からマリズ・ペイン外相、そしてインドからスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相が参加する。

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今からおよそ1年前、ニューヨークで、日米豪印による第1回目の会合が開かれた。この4カ国による戦略対話は、元来、地域における中国の外交的および軍事的活動を抑止することを第一の目的として創設されたことから、一連の観測筋は、この第一回会合を、地域で影響力を強める中国に対抗するものだと評価した。

ポンペオ国務長官の今回の日本訪問は、9月16日に菅義偉新首相が就任して以来、初めてのものとなる。そこで今回の会合は、米国の大統領選を前に、トランプ大統領にとって極めて重要な外交行事となるものと見られている。また会合は日本の新内閣にとっても、初の大規模な外交行事となる。

専門家らは、米国務長官は、今回の会合の参加国に対し、情報交換の活発化および中国に対抗するための統一戦線の形成に向けた関係強化に関する支援を要請するのではないかと見ている。

ロシアの政治学者であるモスクワ大学のアンドレイ・マノイロ教授は、スプートニクからのインタビューに応じた中で、東京での日米豪印会合は、ポンペオ国務長官が予定している韓国訪問と同様、何よりトランプ大統領の選挙キャンペーンと結びついたものだと述べている。

「トランプ大統領には、外交分野で大きな成果を上げ、地域において主導的な立場を示し、依然として中国を抑制しているということをアピールする必要があるのです。今、トランプ大統領に必要なのは、成功と勝利であり、有権者に対し、共和党に票を投じてもらうための最後の呼びかけを行う前に、何かを提示しなければなりません。ポンペオ国務長官が欧州訪問のあと、日本と韓国を訪れるのはそのためです。もしも、そこで2カ国関係においてなんらかの進展を図ることができれば、トランプ大統領は投票を前に、それを自分の成果として示すことができるのです。トランプ陣営は、ポンペオ国務長官の外国訪問とさまざまな会合への参加を利用し、トランプ大統領が外交において成功していることを証明しようとしています。これまでの大統領の大規模な計画が失敗に終わっていることを考慮すれば、このことは非常に重要なことです。大統領は議会でベネズエラの“息の根をとめる”と言明したものの、まだ“息をした状態”であり、朝鮮半島の関係正常化をめぐっては、合意に達するチャンスがありながら、北朝鮮との対話に失敗し、さらに最近のポンペオ国務長官の欧州訪問では、米国が反中国連合を形成することができないことが露呈しました」。

中国は日本および韓国との関係を前進させることができるのか?

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日刊紙「コリア・ヘラルド」の広告記事には、外交分野に詳しい消息筋からの情報として、ポンペオ米国務長官の2日間の韓国訪問直後に、中国の王毅外相が韓国を訪れると記されている。またこの記事では、文在寅政権は、韓国の古くからの同盟国である米国と、現在の最大の貿易相手国である中国との間でバランスを取ろうとしていると指摘されている。一方、先週、韓国の康京和外相は、韓国は、米国か中国のどちら側につくかを選ぶようなことはしないという趣旨の発言をした。また多くの韓国の政府高官が、米国との同盟関係は重要だとしながらも、中国との経済協力関係を犠牲にすることはできないとの見方を示している。一方で、これに賛同しないとする人々は、米国は韓国およびその他の同盟国に対し、中国の影響力を抑止するための動きに加わるよう圧力を強めてくることから、こうした立場を長期的に取り続けることはできないだろうと指摘する。しかし、当然ながら、米国務長官と中国の外相の韓国訪問は、韓国政府が今後、中国寄りあるいは米国寄りのどちらの路線を取るのかという問いに一定の答えを出すものとなるかもしれない。

これより先、日本の公共放送NHKは、中国の王毅外相が10月に日本を訪問する可能性があると報じた。9月25日に、菅首相が習近平国家主席と電話会談を実施した直後のことである。

習近平国家主席は、近年、両国の努力により、2カ国関係はふたたび正しい方向に向かっており、改善傾向を維持しているとの声明を表した。また中国は日本の新内閣とともに、両国の4つの政治文書の原則と精神を指針としながら、しかるべき形で歴史的なものを含む重要かつ繊細な問題を解決し、両国の政治的信頼を揺るぎなく強化し、双方に有益な協力を深化させ、人的交流を拡大させ、新たな時代の要求に合致するような2カ国関係の構築に向け努力する用意があるとの立場を示している。

これに対し、菅首相は、日本は中国に最大の注意を向けており、日中関係は2カ国関係において、もっとも重要なものの一つであると述べ、両国の貿易・経済協力を拡大し、人的交流を深化させ、日中関係を新たなレベルに押し上げるために習近平国家主席と緊密な関係を築きたいとの期待を表した。

菅新首相は、米国ではなく、アセアン諸国を最初の訪問先に

10月半ば、菅首相は就任後初の外遊として、ベトナムとインドネシアを訪問する。安倍晋三前首相が、2012年12月に、2度目の首相就任後初めて訪れたのも、これらの国々であった。これは、日本の外交の優先順位が地域協力であるということを証明するものである。

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これについて、専門家らは、日本が国内経済および地域の安全保障に関して深刻な問題を抱えていることから、菅首相が最初の外国訪問先として、これまでの歴代首相がそうしてきたように、米国を選ぶ可能性もあるとの見方を示していた。米国訪問は、同盟国としての義務を認める日本の象徴的な行動であるからだ。しかし、日本がそのような選択をしなかったことは、11月の大統領選を前に、米国の政治的な争いから距離を置きたいという日本の意向を示しているのかもしれない。

ロシア戦略研究所の専門家、ミハイル・ベリャエフ氏はスプートニクからの取材に対し、日本の新首相が最初の外国訪問先にベトナムとインドネシアに選んだことは、世界の政治・経済の方向性が変わったことを示すものだと指摘している。

「国際的な政治と経済の中心が東アジアと東南アジアへと移動しています。そして日本はこの地域を代表する存在です。当然ながら日本は、こうしたプロセスが進んでおり、近い将来、この地域が世界の発展に一定の影響力を及ぼすようになることを理解しています。世界経済における主要勢力が東アジア、東南アジアに移っていることから、日本の優先順位にも変化が生じています。これはもはや理論ではなく、以前予測されていたものが現実になりつつあるのです」。

菅首相によるベトナム・インドネシア訪問が、東南アジアの貿易・投資市場の新たなセグメントを狙った中国との争いにおいて、日本の競争力を高めようとするものであることは明らかである。これまで安倍前首相も、ベトナムを日本の地域外交にとっての重要なものにし、インドネシアを日本の優先的な直接投資先にするべく、全力を尽くしてきたことを忘れてはならない。

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