Cell Reportsによれば、この実験のために研究者らが用いたのはパンを焼くために使うイースト。太陽の紫外線はDNAを傷つけ、人体組織内に起きるのと同じようにイーストに突然異変を起こす。
実験ではイーストの150の細胞コロニーが選別され、それに紫外線ランプを用いて1月間にわたって1回8秒間の照射を15回続けた。その後、照射された細胞からDNAを取り出し、すべてのゲノムの分析を行った。
その結果、決して強くない紫外線照射でも1本のDNAの鎖上に5万個の突然変異が起きていたことが分かった。これまで学界ではDNAの2か所に損傷が起きた場合、皮膚がんが引き起こされると考えられていたものの、突然変異の半数以上が死に至る危険性を持つ悪性黒色腫(皮膚がん)の引き金となるものであることがこの実験でわかった。
この研究で皮膚がん発生の原因についてより広範囲に光が当てられ、DNA連鎖に危険な突然変異が生じる部位を正確に規定する可能性が広がり、正しい治療法の発見に一歩近づいた。