自分はトランスジェンダーじゃないけど、このCMを見て思わず泣いてしまいました
最近、大企業の多くが広告の作り方を変化させている。これまでのように自社製品がいかに優れているかということをアピールするのではなく、自社の価値観を語ったり、大きな社会問題について取り上げるようになってきているのである。たとえば、数ヶ月前、東京では刃物メーカーの貝印が剃毛や脱毛に関する多様性を表現した広告ビジュアル「ムダかどうかは、自分で決める」を掲示した。
広告はインタビュー形式となっており、2人のトランスジェンダーに就活の体験について話を聞いている。そして2人はその中で、自身のアイデンティティやプライドによって直面することになった困難について語っている。
パンテーンはこの#PrideHairと題されたキャンペーンを実施するにあたり、独自の調査を行ったが、この調査では、日本のLGBTQ+の人々の70%以上が、就職活動で苦労したと答えている。日本では就職先を探すにあたり、履歴書に性別を明記しなければならず、その性別に合致するような服装をしなければならない。トランスジェンダーは自身の心の性別を書くか、生まれたときの性別を書くかの選択を迫られ、また面接の際に男性のスーツを着るか、女性のスーツを着るかを決めなければならない。
複数の世論調査によれば、日本のLGBTの割合は全人口の6%から10%となっていることから、ごくわずかな人ではなく、わたしたちの周りの数百万の人々がこのような悩みを抱えていることになる。
また、自身が差別を受けた体験を綴る人もいた。「ゆっくりだけど日本も前進してる。ちなみに自分は20年ほど前、J-phoneの最終の役員面接でゲイであること言うたら落とされた。今はもうない会社だからいいけど」。
人が根強い偏見に囚われている場合、一般のテレビ広告はそれを払拭する助けとなるのだろうか?
傷つける言葉や行動―日本のLGBTQの人々の体験談
スプートニクは日本に住むLGBTの人々にインタビューし、LGBTに対する社会の目、そして今回のパンテーンの広告について意見を聞いた。2人へのインタビュー内容を以下に紹介したい。
仲村 司さん(日本のLGBT老後問題、LGBTの就労問題に立ち向かっているアラフォーのトランス)
「CMを初めて見た時は驚き、そして、過去の就職活動時を思い出しました。
寛容な国と比べると少ないとは思いますが、セクシャルマイノリティーを起用した広告はこれまでにもいくつかありました。
しかし、パンテーンのような数人の当事者体験談をここまで丁寧に扱った広告は見たことがありません。形だけの支援ではなく、セクシャルマイノリティー支援への本気さが伝わってきます。
多いのが、職場で見た目が中性的なので、ある程度、人間関係が深まってくると男性なのか?それとも女性なのか?と直接の、言葉では聞いてこないが、探りを入れられるシーンが何回もあり、仕事とは性別は関係のない事なのになぜ?といつもストレスを抱えていました。
そのおかげでトイレへ行く直前、人に見られている(男性トイレに入るのか?女性トイレに入るのか?)ような気がして、ひどい時は幻聴まで聞こえていました。精神安定剤の服用やカウンセリングを受けながら働いていた時もありました」。
一方、中村さんは、トランスジェンダーやLGBTQの人々を助けるために日常生活において社会ができることはあるかについては、次のように述べている。
「ですが、LGBTQ差別禁止法の制定、性同一性障害特例法の条件緩和、同性婚の合法化、里親条件の緩和などの法整備、教育現場でのセクシャルマイノリティーも含めた正しい性教育、全国の学校制服男女共に選べスカート、ズボンの選択制、男女共用トイレの増設、シェルターなど対策を講じる事が出来るのではないかと思います」。
あだちさん(インスタグラム・ブロガー)
「まずパンテーンについてはすごくリアルな質感のCMで、当事者の人達もリアルな雰囲気の気持ちを話しているのがTVのCMでもなんだかとても嬉しく思いました。
日本ではまだ自分みたいな人を「おかま」や「おねぇ」みたいな差別用語でしか表現できなかったり受け取れなかったりする人が数多くいるので、大々的に私たちだって普通の人間だけ!私たちに人権を!みたいな押しつけじゃない感じの内容だと感じたので私はすごく嬉しかったです。
自分が仕事などでお世話になってる「良和ハウス」さんはLGBTQ当事者に方達に対してとても温かい対応をする政策に取り組んでいていつも良くして頂いてます。
現実では差別用語の「おかま」「おねぇ」などを言ってくる人がまだいるのが現状です。自分がこの言葉に該当する人間だからこれに関してしかお答えできないのですが、たしかにその言葉の通りではあるんですが、これは異性愛者の人たちが普通の社会で「ブサイク」「ハゲ」「ワキガ」「老け顔」などの言われて必ずと言って良いほど不愉快な気持ちになる言葉と同じ意味になるのは分かってほしいとは思っています。でもそんなに変わらないのはわかります。なので現実では結局自分が一緒にいたい関わっていきたいと思える人達と付き合っていくしかないと思っています。これはもう誰だって同じことだし、そうしよっと!って開き直りました」。