先日、バンクシーが英ブリストルの家の壁にスカーフを巻いた老婦人を描いたと報じられた。新作では、大きなくしゃみをした際にバッグと杖を手から離し、入れ歯が口から飛んでいく老婦人の様子を描いている。
地元住民は、新作を守るため透明なプラスチック製の衝立を立てている。11月末には、英ノッティンガムで描かれたバンクシーの作品が荒らされ、誰かがその作品の一部である自転車を盗んだことが明らかになった。
バンクシーとは誰なのか?
バンクシーは路上アートに対する大衆の認識を変え、世界で最も成功したストリートアーティストとなった。
バンクシーはスプレー缶のみならず、あらかじめ用意した型紙も使って独自の手法で作品を制作している。バンクシーの作品は、常に社会問題を象徴するような内容となっており、消費社会の弊害、戦争での無実の犠牲者、地球温暖化など最も重要で緊急な問題に着目している。バンクシーは、路上の落書きをアートのレベルに引き上げ、他の路上アーティストがやったことのないことを成し遂げている。
ブリストルの路上に最初の作品が登場して20年以上が経過したが、その間だれもバンクシーというペンネームの下に隠された作者について知ることができなかった。それゆえにこの匿名性がバンクシーのアイデンティティにとって不可欠なものとなった。あるときバンクシーは、「もしあなたが人に聞こえるように何かを言いたいのなら、マスクをつけておく必要がある」と語っている。
10月21日、覆面芸術家バンクシーの新たな作品が、ロンドンのオークション、サザビーズに出品され、オークション開始からわずか8分で、記録的な金額に近い980万ドルで落札された。今から2年前、バンクシーのもう1つの代表作「赤い風船に手を伸ばす少女」が、競り落とされた瞬間にその場で細断されたのも、他でもないこのサザビーズオークションだった。
今回オークションに出品された「ショー・ミー・ザ・モネ」は切り刻まれることはなかったが、世界的に有名な作者自身は今度も姿を現さなかった。路上芸術家のバンクシーが、正体不明のまま、いかにして数百万の人々からの愛と名声を獲得したのかについて、「スプートニク」がまとめた。