12月26日、シェルバコワ選手はロシア選手権3連覇を達成。フリー演技の得点は183点と、世界最高を17点も上回る出来だった。シェルバコワ選手は1カ月ほど前に肺炎を患い、完全には復調きていなかった。今大会も直前までコーチ、両親ともに棄権するよう説得したが、同選手は出場を決めた。
トゥトベリーゼコーチは「チャンネル1」のインタビューで次のようにコメントしている:「なぜ涙ぐんでいたのか?感情が高ぶってしまいました。今日のアーニャ(=シェルバコワ選手)は不可能なことをやり遂げました。彼女の力を超えていました。調整を重ねることができず、肺炎で修正を迫られました。何度か彼女に棄権しよう、と持ちかけましたが、アーニャは断固として『議論の余地もない』と突っぱねました。」
シェルバコワ選手の演技をトゥトベリーゼコーチは「克服」と評した。「これまであったことをすべてまとめる言葉は、克服、ですね。私にとっては肉体と精神状態の克服であり、というのはやはり重圧であるとか、とにかく大変辛かったです。アーニャにとっては英雄的な行動です。」
もう1人の教え子、カミーラ・ワリエワ選手(14)によると、トゥトベリーゼコーチの涙を見たのは2018/2019シーズンにアリーナ・ザギトワ(18)が「オペラ座の怪人」でGS(グランプリシリーズ)モスクワ大会を優勝した時以来だという。
しかし今回のロシア選手権で涙を見せたのはトゥトベリーゼ氏だけではない。同チーム振付師のダニイル・グレイヘンガウス氏も同様だった。
また2002五輪チャンピオンのアレクセイ・ヤグディン氏もテレビ解説をしながら生中継で泣いていた。著名コーチのアレクサンドル・ジューリン氏もトルソワ(16)、ワリエワ、シェルバコワの演技には涙が出たと後に語っている。ソ連功労コーチのタチアナ・タラソワ氏ももちろん泣いていた。
トゥトベリーゼ氏はISU(国際スケート連盟)の最優秀コーチ賞を受賞する一方、厳しい性格でも知られている。同氏は2020年7月、女性誌Elle日本版の「毒コーチ」ランキングで1位に選ばれている。