CNNテレビの消息筋によると、ペンス副大統領は仮にトランプ大統領が「より不安定になる」場合に備え、合衆国憲法修正第25条を適用する策を残してきたという。ペンス副大統領は今週に入ってこの可能性を具体的に検討し始めた模様。
修正第25条は大統領が病気や死亡により職務を遂行できない場合、大統領の承継を取り扱い、副大統領が欠員の場合にそれを埋める方法を定めている。この条文を適用するには、副大統領に加え、閣僚の過半数から支持を得る必要がある。修正第25条はジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された後に制定された。
修正第25条は仮に現職の大統領が健全であったとしても、辞職を望まない際に適用することが原則的に可能となっている。
先にトランプ大統領は5日のツイートで、ペンス副大統領が選挙人による投票結果に影響を行使できるとの考えを示していた。これに対し、ペンス副大統領は投票結果の承認を停止する権力があるとは考えていないことを大統領に伝えたという。
トランプ大統領は1月20日に予定されているジョー・バイデン氏の大統領就任式に参加しない意向を示しているが、ペンス副大統領は次期大統領からの招待を受け、これを承諾した模様。
就任式に参加しない大統領としてトランプ氏はジョン・アダムズ第2代大統領、ジョン・クィンシー・アダムズ第6代大統領、アンドリュー・ジョンソン第17第大統領に次いで史上4人目の大統領となる。
1月6日、トランプ大統領は支持者らを集め、「議事堂の弱腰共和党議員らを助けよ」という趣旨の発言を行った。その直後、支持者らは米議事堂に突入して占拠した。その際、米空軍のベテラン隊員(女性)が射殺されたほか、警官が負傷、後に死亡が確認された。加えて、3人が騒動の最中に死亡した。議事堂ではジョー・バイデン氏の大統領選における勝利を確定する会議が行われていたが、支持者らの侵入によって会議は数時間にわたって中断された。この占拠事件を受けて、大統領の辞職を求める声が与野党から上がっている。