トーマス氏は2010年代の初頭にビットコインに興味を持つようになった。仮想通貨に関心を持つようになったのは、国家にも大企業にも管理されないものだったからだと話す。2011年初頭に、トーマス氏は暗号資産について解説する動画を公開した。そして、これを視聴した、同じくビットコインに興味を持つ人物が、仮想通貨を人々に広めてくれたことに感謝するとして、7,002ビットコインをトーマス氏に贈った。
この少し前に、ビットコインの価値は初めて1ドルを超えた 。トーマス氏はパスワードをデータセキュリティ付きの暗号化USBメモリー「アイロンキー」に保存し、そのパスワードを紙にメモしたのだが、その紙を紛失してしまったのだという。
「ベッドに横たわって、パスワードについて考え、新たな方法を思いついてコンピュータに向かうのですが、やはりうまくいかず、絶望的な気持ちになるのです」とトーマス氏は話している。
ビットコインにアクセスするためのパスワードを忘れる人は少なくないという。仮想通貨に関する調査を行っているChainalysis社のデータによれば、既存のビットコインの20%ほどがなんらかの理由で紛失またはアクセスできない状態になっていると分析している。現在のレートで換算すると、その額はおよそ1,400億ドルにのぼるとのこと。
ビットコインの価値は1年以内で6倍に高騰した。2020年の3月にはおよそ5,000ドルだったのが、夏には11,000ドルになり、12月には史上初めて20,000ドル、1月8日には40,000ドルに達した。この記事を執筆している段階で、ビットコインの価値は34,500ドルとなっている。
このような仮想通貨の高騰により、保有しているビットコインにアクセスしようとする人の数が増えている。ニューヨークタイムズ紙によれば、紛失したパスワードの復元を手助けする「ウォレット・リカバリー・サービス」社は過去1ヶ月間に、そのような問い合わせが3倍増加したとしている。
トーマス氏は、万が一、複雑なパスワードを解明する方法が見つかった時のために、USBメモリを安全な場所に保管しているという。「心の健康のために、これは過去のものにしておきます」。
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