研究者らは、地球の大気中には、オリンピックのプール5,000億個分の水があると指摘している。空気から水を取り出す試みはこれまでにも行われてきたが、かつての方法はすべて、太陽電池や電力、または特別な装置を必要とするものであった。
シンガポール大学の研究グループが開発したのは、電気や動力を使わずに水を取り出す方法である。開発したのは顕微鏡で見るとスポンジのように見えるほとんど重量のない軽いアエロゲル素材。この「スマート」アエロゲルが空気中の水分を集めて凝集し、多孔質構造内にスポンジのように含み、その水が自然に滲み出して滴下するという。
研究グループは実証試験を行った結果、得られた飲料水は世界保健機関(WHO)の基準を完全に満たしているとの確信を示している。
現在、研究グループはこのアエロゲルを家庭用、あるいは産業用に使えるよう、研究開発をさらに進めるため、商用パートナーを探しているとのこと。このアエロゲルは、飲み水のない生活、雨不足、災害時などに安心感をもたらす水源となるものである。
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