英リーズ大学の氷河学者トーマス・スレーター氏を中心とする英国の科学者チームが、1994年から2017年までの観測データやコンピューターシミュレーションを用いて調査を行った結果、1990年代には年間平均0.8兆トンだった氷の消失量は、近年では年間約1.2兆トンまで増加していることが分かった。これにより、過去3年間で世界の平均海面は3.5cm上昇した。
また、南極やグリーンランドなどの陸上の氷河からは、全体の氷の消失量の22%を占める氷が消失しており、これは氷河の融解水を必要とする地域に水不足をもたらす可能性がある。
米国のアラスカ州立地質地球物理調査部のガブリエル・ウォーケン氏によると、世界の氷河や氷床の氷損失量を算出することは非常に興味深いアプローチであり、実際に必要とされるものであると指摘する。特に米アラスカ州では、地元住民は目に見える氷河の減少を実感しているという。