自殺者の脳では何が起こっているのか?

カナダのダグラス・メンタルヘルス大学研究所の研究者グループは、自殺念慮を生み出す慢性化したうつ状態は、脳内のアストロサイトの急激な減少によって引き起こされるとの結論を導き出した。雑誌「フロンティアズ・イン・サイキアトリー」は、アストロサイトは神経細胞の保護に直接関係があるものだと指摘している。
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カナダの研究者らは、うつ病に苦しんだ末に自殺した男性の脳組織と、精神的に健康な人のサンプルを比較するという実験を行った。すると、自殺した人の脳内には、人間の脳に多様かつ重要な役割を果たしているアストロサイトの量がかなり少ないことが分かった。たとえばアストロサイトは、神経細胞に栄養を与えたり、脳を有害物質から守ったり、神経細胞の生存と働きを助けたりしている。研究者らは、このアストロサイトが急激に減少すると、脳機能が乱れ、うつ的な症状が現れると考えている。

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そこで研究者らは、自殺念慮のある人の脳内のアストロサイトを増やすことができれば、その人の状態を変え、自殺から救うことができると考えている。アストロサイトは、成人の脳内でもかなり大量に生成されることが分かっている。そこでカナダの研究者グループはアストロサイトが減少する理由を突き止め、症状を改善する方法を模索している。もしもこの試みがうまく行けば、精神疾患を抱えた多くの人を自殺から救うことができるようになる。

新型コロナの感染拡大によるうつ病によって、自殺の数が増えていることについては、「スプートニク」の過去の記事からどうぞ。

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