ニューヨーク・コンサルティング・ビュローのパホモフ代表はリアノーボスチ通信の取材に応じた中で次のようにトランプ氏の無罪判決を分析した。
弾劾は成立しませんでしたが、それは以前から分かっていたことです。しかし、トランプ氏から手を引くことはありません。というのも、彼は民主党の有権者にとって「ムレータ」(闘牛士が使う赤い布:スプートニク編集部)であり、いまなおその意義を維持しているからです。これを口実に、支持者から資金を集めることができますし、トランプ氏の再選という脅威を利用してトランプ対策基金を設置することもできます。これにより資金集めの一大キャンペーンを行うことができるのです。
トランプ氏については刑事事件、民事事件ともに様々な調査が進められていることから、トランプ氏の脅威論は引き続き意義を持つという。
ただし、これがどの程度、効果的かは疑問です。民主党議員らには弾劾で大統領選への出馬禁止や公職追放を実現したい思惑もありましたが、このシナリオは失敗しました……そして、それ(トランプ氏の人気:スプートニク編集部)は今後も続くでしょう。米国の抱える全ての問題をバイデン氏が期待通り解決することはありませんから、それはなおのことです。トランプ氏が2024年(大統領選)に強力な候補者になるファクターはすべてそろっています。
また、パホモフ氏によると、弾劾裁判の結果は現代米国政治の深刻な分裂状態を証明しているという。
上院の議席も50と50で分かれています。つまり、民主党は社会の意に反してトランプ氏の有罪判決を勝ち取ろうと躍起になる一方、共和党は有権者の意を汲んで、如何なる手段を使ってでもトランプ氏にしがみつこうとします。米国社会は極めて混乱しています。
米議会上院では13日夜にドナルド・トランプ元大統領の弾劾に関する採決が行われたが、賛成票が3分の2に届かなかったため、弾劾は実現しなかった。無罪確定を受けてトランプ氏は支持者に対し、今後の政治活動に向けた協力を呼び掛けている。
米下院は1月13日、ドナルド・トランプ大統領(当時)の支持者による襲撃で「反乱を扇動」したとして、弾劾措置決議案は賛成232、反対197の賛成多数で可決された。下院は25日に弾劾訴追決議を上院に送付。上院は2月9日、トランプ元大統領に対する弾劾裁判の合憲性について採決を行い、賛成多数で合憲とした。共和党からは6人が離反して賛成票を投じた。弁護側は弾劾について憲法が定める規定は現職の大統領を対象としたものであるため、トランプ氏に弾劾は適用できないとの見方を示していた。