戯曲を書いたのはイーロン・マスク氏の「OpenAI」社製のロボットだ。GPT-2と呼ばれるAIシステムは当初、インターネットで入手可能な膨大な情報量をフィルタリングしてテキストを作成するために開発された。またフェイクニュースやストーリーを書くために利用されてきた。
ところがプラハのカレル大学の研究者らがGPT-2の創造力を広げようと決心。そのプログラムに戯曲を書き始めるヒントを書き込んだ。それは2人のキャラクターが人間の感情や不安について話し合う2つの文で、このヒントをもとに、AIは1000ワードに満たないテキストを書いた。
もちろん、最初から上手くいったわけではない。研究者の1人が言ったように、AIはウイリアム・シェイクスピアには程遠かった。ロボットは時に登場人物を間違え、2人のうちどちらがロボットでどちらが人間かを忘れることもあった。そのような場合は言語学ソフトが新たにヒントを与え、AIは戯曲執筆を続けたのであった。とは言っても、出来上がった戯曲のうち、人の介入はわずか10%で、90%はAIのものだ。
戯曲は60分モノで、哲学ドラマと不条理コメディのギリギリのラインでバランスを保っている。その中心にいるのが自身の悲しい物語を語るロボットだ。自分を作った開発者の死後、孤独に耐え切れずロボットは世界に出る。世界とつながりをもとうとするが、その努力は無駄であることを理解する。既存の社会では生身の人間でさえも分裂しており、相互理解の方法を見つけられないこともよくある。
スプートニク通信は以前、コロナ禍の孤独の克服の助けとなるロボット「ソフィア」について紹介した。
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