昨年、12ヶ国の研究者らが、永久凍土に埋没している古代病原体の専門的な研究プログラムの設置を国際機関や各国政府に呼びかける書簡を世界保健機関(WHO)に送付した。
ロシアの研究者らは古代病原体の調査実施を計画しているが、これらのウイルスは化石化した動物の遺骸や氷床コアに残る気泡に存在する。研究の基本は、マンモスや他の先史時代の動物相のサンプルから得られる軟組織が対象となる。これらは、ロシアの都市ヤクーツクにあるマンモス博物館で特殊な冷凍室で保存されている。研究目的は、古代ウイルスが感染症の発生源となり得るのかを解明するために、こうした病原体のDNAを完全に再現することにある。
まるで不滅のフェニックス
2006年、フランスの研究者らが数十万年前に存在した未知の古代ウイルスのDNAの一部を再生した。この病原体は人体組織に侵入することができただけでなく、新しいウイルスを生み出すため人間のDNAと結合することも可能だった。この古代ウイルスを研究者らは「フェニックス」と名付けた。
さらに2014年にフランスの生物学の研究者らが危険な発見をしている。彼らはシベリアの3万年前の永久凍土のサンプル内で完全に保存されたウイルスを発見した。このウイルスは溶解後に生きた細胞を死滅させる能力を維持していた。この先史時代の病原体は、今日知られているウイルスの中で最大として知られ、研究者らは「ピソウイルス」と名付けた。
パンドラの箱
数千年の時を経て復活するおそれのある古代病原体に世界中の研究者らが警鐘を鳴らしている。世界的温暖化が、永久凍土の溶解というパンドラの箱を開けた。それにより、現代の人間には未知の存在である先史時代のウイルスが解き放たれる。これらのウイルスは、感染力が非常に強く、死に至る危険性も高いおそれがある。これらの性質を研究し、対応するワクチンの開発を怠ったなら、人類の文明の存在が脅かされるおそれがある。
永久凍土の溶解によって危険な古代ウイルスが解き放たれるリスクについては、すでに通信社スプートニクが報じている。
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