ロムニー議員は、選手団の派遣禁止は中国政府との戦い、そして選手ら自身にとって助けにはならないとした。そこで、ロムニー議員は北京大会をボイコットすべく、経済的、外交的戦略を提案した。
その例として、米国市民の中国渡航を禁止することや、「中国のプロパガンダ」に該当するシーンを主要テレビで放映しないことなどを提案している。ロムニー議員はニューヨークタイムズ紙に寄せた文面の中で次のように記している。
仮に選手の参加を禁止すべきでないというならば、中国の悪行は認めないという姿勢をいかにして示すのか。正しい答え、それは北京五輪の経済的、外交的ボイコットである。米国の観客は我らが国の選手、コーチの家族を除き、国内にとどまるべきである。それによって中国共産党がホテルやチケット、食事などから受け取る大量の資金に貢献することを防ぐことができる……ホワイトハウスの外交官や職員を北京に派遣するという伝統行事の代わりに、大統領は中国の反体制派、宗教上の指導者、民族的マイノリティを招待し、私たちの代表とすべきである。
また、対香港政策や、ウイグル人の弾圧、市民の監視行為、反体制派の人権侵害を理由に、中国は五輪を主催する権利を持たないと指摘した。さらに米国は同盟国に対し、同様のボイコットを呼び掛けるべきとも指摘した。
先に人権団体や連邦議会の議員らは中国政府がウイグル人イスラム教徒らのジェノサイド(民族大量虐殺)を行ったとし、北京五輪をボイコットするよう、政府に要請していた。これに対し、中国外交部の汪文斌(おう・ぶんひん)公式報道官は2月4日、五輪の政治利用は五輪憲章の原則に反するとして、ボイコットを呼びかける動きに抗議を表明していた。
これまで中国は チベット自治区、新疆ウイグル自治区などでウイグル人などイスラム教徒集団を抑圧し、人権を侵害しているとして、英国、米国といった諸国から非難を浴びてきた。これに対して中国は内政干渉にあたるとして反発している。
北京冬季五輪の開催期間は2022年2月4日から20日。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は北京の2022年冬季五輪へ向けた技術上の準備は見事な水準で開催準備はすべて整っていると言っても過言ではないと語っている。