大富豪たちの宇宙開発競争は、何をかけた戦いなのか?

イーロン・マスク氏とジェフ・ベゾス氏という、世界で最も裕福な2人の実業家が、宇宙開発をかけた戦いに挑戦状を叩きつけた。もちろん、自身の夢を叶えるため、2人は巨額の資金を用意しており、現時点ですでにテスラとアマゾンが激しい競争を繰り広げるであろうことは明白である。いずれの企業も低軌道衛星による通信網の構築に向けた争いをスタートさせた。富豪たちを魅きつけているのは宇宙の何なのか。スプートニクが取材した。
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ジェフ・ベゾス氏が最高経営責任者(CEO)を務めるアマゾンは、3,200基の衛星の打ち上げに対する許可を取得していたが、結局、1基も打ち上げていない。一方、スペースX社CEOのイーロン・マスク氏は、およそ1,000基の衛星を打ち上げ、さらに4,400基の打ち上げの許可を手にした。今後、12,000基を打ち上げる計画だ。

なんのための戦いなのか?

宇宙というのは、大きなビジネスの舞台である。これについて、プレハノフ記念ロシア経済アカデミーの企業・ロジスティクス学科長、ドミトリー・ザヴィヤロフ氏は、自らの論文の中で、あらゆる勝利が現実的な利益を生み、大きな投資を呼びこむものとなると指摘する。現在、近代的な通信手段がない地域に、高速インターネットを広く保証すること、これが両社CEOが現在競っている優先的な課題だという。「スプートニク」からの取材に対し、ザヴィヤロフ氏は次のように述べている。

「低軌道の宇宙開発は衛星システムと関連しています。10年前には衛星の打ち上げを行っているのは2社だけでしたが、現在は10社以上あります。衛星打ち上げの料金も下がりました。ですから、衛星通信に関するあらゆる事業への投資者を見つけるのも簡単です。地上での問題を処理している間は、危険を招く心配はありません」。

さらに、軌道上での衛星網の構築は、抽象的な高リスクのプロジェクトではなく、現実的な投資であり、その利益は今日にも手にすることができる。

マスク氏とベゾス氏以外に、参戦者はいるのか?

ヴァージン・オービット社のロケット打ち上げ コロナウイルスの影響で中止
大富豪による宇宙開発競争は、2014年に地政学的な緊張が高まるのを背景に(クリミアがロシアに帰属し、ロシアに対する一連の経済制裁が発動されたあと)、米国がロシア製のロケットエンジンの使用をやめた数年前から始まった。宇宙開発企業とマスク氏やベゾス氏といった富豪たちはここに新たな可能性を見出したのである。この戦いに参戦する富豪が今後、現れる可能性はあるのだろうか?

ドミトリー・ザヴィヤロフ氏は英国のもっとも裕福な実業家で、ヴァージン・オービット社の会長を務めるリチャード・ブランソン氏の名を挙げる。リチャード・ブランソン氏は、ボートでの大西洋横断や熱気球での太平洋横断、水陸両用車でのイギリス海峡横断など、冒険家としてもいくつかの世界記録を打ち立てている。そこで、次は宇宙での記録樹立を狙ってくる可能性はある。

「この他には、2016年に宇宙船の開発と地球外文明の探索に1億ドル(およそ109億円)を投資すると発表していたロシアの企業家、ユーリー・ミレル氏がいます。いずれのプロジェクトも、有名な科学者スティーブン・ホーキング氏の支援を受けて、進めています」。

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