東京五輪 国外からの観客受入れ見送り 日本国内消費1500億円失われる IOCの収入の痛手は最小

東京五輪・パラリンピックは国外からの一般観客を受け入れない形で開催される。昨日20日、IOC(国際オリンピック委員会)、IPC(国際パラリンピック員会)、日本政府、東京都、大会組織委員会の5者協議が行われ、近代五輪史上初となる国外観光客の受入れ見送りが決定。インバウンド消費を見込んでいた日本の観光業界からは落胆の声も上がる。日本経済新聞が報じている。
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東京都の小池百合子知事は5者協議後の記者会見で「安全安心を最優先することでやむを得ない判断。ただ、開催都市としては大変残念」と語った

日本政府は当初、東京五輪をインバウンド需要復活の足掛かりとすべく外国客の受入れに動いていた。ところが昨年末に国内の感染拡大がピーク、同時に変異ウイルスが初めて国内で確認され、受入れ見直しの検討を始めた。

一方のIOCは当初、国外客の受入れ見送りに慎重だったという。すでに国外でチケットは約90万枚販売され、見送りに伴う訴訟リスクなどを懸念したという。

ただし、チケットは大会組織委員会の収入源の1つだが、IOCの総収入は約7割を放映権料、2割弱をスポンサー料が占める。米テレビ局NBCユニバーサルと長期契約を結び、2032年までの計10の夏季・冬季大会の米国での放映権を総額1兆円超で販売済み。安全な開催という観点に加え、収益面で大きな痛手を受けないことから、IOCも歩み寄った。

日本にとってはインバウンド消費に大きな影響が出る。日本旅行の堀坂明弘社長は「観光業界としては大きなマイナス」と語る。

第一生命経済研究所の永浜利広・首席エコノミストは国外観客の受入れ見送りにより「過去のインバウンド消費額などから計算すると1500億円程度が失われることになる」と指摘する。

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