かつて火星は地球と同じく水に覆われてた惑星だったと考えられる。このことの証明を研究者らは、惑星の表面に残された多くの運河や河川のデルタの画像から読み取った。また、レーダー観測は、火星南極の埃と氷の下に隠れた液状の水たまりを発見している。現在、火星の水は地球の1%以下の低気圧のガスまたは氷としてだけ存在する。しかし、マーズ・エクスプレス が撮影した画像では、水は火星の大気から宇宙に消失し続けていることが示されている。
マーズ・エクスプレスは、2003年にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられて以来、火星の大気のプロセスの観測を継続的に行なっている。
マーズ・エクスプレスのモニタリングの継続によって、ロシア宇宙科学研究所(RAN)とフランスの研究機関「Laboratoire Atmospheres Observations Spatiales」の研究者らは、火星の水の流出に嵐がどのように影響するかを解明することに成功した。この研究では、2007年と2018年に火星で生じた2度の大規模な砂嵐の分析と嵐のない年の指数との比較が行なわれた。
寒気の到来にともない、火星の大気で氷結する水分は、地球のようにその後雨や雪として惑星上に降ることがないことが判明した。時折、火星上で発生する砂嵐は、火星の大気を暖め、破壊し、その際に大気中に含まれる水分を宇宙に流失させるような高度まで上昇させる。その結果、火星はますます水分を消失することになる。