中国の年金改革 受給開始年齢引き上げに市民は脅威

中国の発表した新5カ年計画では国民の年金受給開始年齢の段階的な引上げが検討されており、これが中国国民に強い懸念を引き起こしている。一般市民はこの改革に現実的な脅威を感じており、歳をとった時、自分を支える安定した収入が得られないのではないかと危惧している。サウスチャイナ・モーニングポスト紙が報じた。
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サウスチャイナ・モーニングポスト紙によれば、中国政府はこの年金改革について人口老齢化の危機を調整するものと説明している。中国では過去10年、年金受給開始年齢は男性は60歳、女性は50歳ないしは55歳と変わらなかったが、中国も近隣の東アジア諸国の例にもれず、人口老齢化が急速に進み、逆に出生率は落ちている。同紙はこの状況は中国の経済発展に脅威をもたらしていると強調している。

サウスチャイナ・モーニングポスト紙によれば、年金改革の公表後、中国版ツイッターと呼ばれる「微博(Weibo)」では政府の改革のポストがここ2週間で2億1000回超の閲覧と1万9000件を超すコメントを集めた。コメントを読むと改革には特に1970年以降に生まれた市民が憂慮していることがわかる。

この世代の市民は年金受給開始年齢の引上げは「非科学的かつ不公平」と考えており、その理由として中国は、高齢者が長年にわたって働いている他の先進国ほどには、有効かつ大規模な社会支援システムはないと指摘している。

中国、年金支給開始年齢引き上げへ
くわえてWeiboのユーザーらは今の中国の労働市場では50歳から60歳を雇用する民間企業は少ないため、この年齢層の市民は仕事も今までの法律で保障されていた年金もない状態におかれることになると指摘している。サウスチャイナ・モーニングポスト紙は、中国市民の多くはすでにこの段階で老後に備えて毎日の支出の切りつめはじめたと書いている。

Weiboで若い女性たちの間からは年金受給開始年齢引上げは子どもを産みたいという気持ちにマイナスの影響を及ぼしかねないと書いている。都市部の生活費はあまりにも高く、夫婦がフルタイムで共働きをせざるをえない。今までは子どもの世話をおじいちゃん、おばあちゃんに頼むこともできたが、年金改革で家族の中の高齢者も働かざるをえなくなると、子どもは行き場がない。この結果、人口老齢化はますます進んでしまうことになる。

サウスチャイナ・モーニングポスト紙は、年金改革で公務員を目指す若者が増えるだろうと予測している。公務員のほうが民間会社より年金開始までの勤務が保証されるうえに、年金額も満額で受け取れるからだ。

サウスチャイナ・モーニングポスト紙は改革で最も脆弱な立場に立たされるのは農村部出身の労働者だと指摘している。その大半は肉体労働に従事しているため、50歳を超えると体には支障が出始める。彼らはふるさとに戻って、貯金と年金を頼りに暮らし始めるのだが、農村部では社会サービスの働きは都市部よりも効率が悪い。

サウスチャイナ・モーニングポスト紙は、年金改革をディスカッションするなかで中国市民の見解は、中国で人口老齢化がピークを迎えるまでに、欧州や日本のような国の高齢者支援の社会システムが確立されていなければならないというところに集約されていると指摘している。

スプートニクは、日本で今までの高齢者むけの手厚い医療給付を見直す動きがでていることを報じている。

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