新型コロナウイルス

政治的な成功、それとも問題?サンマリノは露製ワクチン「スプートニクV」によって世界で初めてワクチン接種が完了した国になるかもしれない

イタリア半島にある小国、サンマリノは、2月下旬の時点で、新型コロナウイルスワクチンを入手していない西欧で唯一の国だった。サンマリノはロシアに支援を求め、それから間もなくして、ロシア製新型コロナワクチン「スプートニクV」の第1便がサンマリノに到着した。サンマリノは、5月末までに同国の全成人2万9000人への接種を行う見込み。一方、独自のワクチン危機を克服したEU非加盟国のこの小国は、国外で高まるはるかに大きな危機の前兆となった。ワシントン・ポストが報じた。
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ロシア新型コロナワクチン「スプートニク・ライト」 感染リスクを半減
サンマリノは、「スプートニクV」以外のワクチンについても検討したが、「スプートニクV」は権威ある医学雑誌ランセットに91.6%の効果が確認されたとする論文が掲載されたほか、その費用も1回当たり約10ドルと比較的安価であることがメリットとなって選ばれた。サンマリノのルカ・ベッカーリ外相はワシントン・ポストに「我われは必要な選択をしただけだ」と述べた。

なぜ欧州全体とは違うのか?

サンマリノは当初、ワクチン供給に関してすべてをイタリアに頼る予定だった。2021年1月、両国は、欧州から供給を受けた各1700回分のうち1回分をイタリアがサンマリノに引き渡すことに合意した協定に署名した。これはサンマリノが他の欧州諸国と同じテンポでワクチン接種を実施することを保障した。しかし、協定締結のためにはイタリアだけでなく、EUの規制当局やワクチン供給業者の同意が必要であり、合意は2カ月遅れ、サンマリノの保健相によると、市民の間で抗議機運が生じた。

サンマリノには医薬品規制当局がないため、保健相は「スプートニクV」の使用に関する問題を小さな生命倫理委員会に委ね、同委員会は迅速に承認した。サンマリノは現在、イタリアとの合意に基づいて少量のファイザー製ワクチンを受け取っているが、いずれにせよ、サンマリノでは「スプートニクV」がワクチン接種の85%を占めている。

独立した選択

サンマリノでは、EUの使用許可がまだ出ていない「スプートニクV」の接種が急速に実施されているが、サンマリノを取り囲むイタリアやその他の多くの欧州諸国では、ワクチン接種がはるかに遅いペースで進んでいる。小国のサンマリノは、突然、他の国の地政学を背景に独立したアプローチの例となった。さらにサンマリノは、「スプートニクV」の使用を許可した西欧で唯一の国にもなった。サンマリノ以外に、EU加盟国の中ではハンガリー、スロバキア、チェコが、単一の欧州ワクチン調達システムからの離脱を決定した。

一部の政治家やサンマリノに近いイタリアの都市の市長らは、イタリアもロシア製ワクチンを独自に承認することを検討すべきだとの考えを表した。また数百人のイタリア人が、「スプートV」の接種を受けるためにサンマリノの病院に予約しようとしたが、徒労に終わった。

サンマリノでは、少なくとも人口の27%が1回目のワクチン接種を受けており、これは欧州の平均の2倍に及ぶ。また最終的にサンマリノは、1回目のワクチン接種率がわずか12%のイタリアを背景に、「保護された包領」となるかもしれない。

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