1992年のバルセロナオリンピック柔道中量級の金メダリストで、ブラジルオリンピック組織委員会事務局長を務めるロジェリオ・サンパイオ氏によれば、ブラジルは新世界の中でも最後に奴隷制が廃止された国であり、現在およそ55%の国民が黒人または混血である。しかも、白人は黒人に較べて、平均でほぼ75%収入が多いのが現状である。こうした状況を背景に、サンパイオ事務局長は、外でもないオリンピック組織委員会が人種差別撲滅に向けた講習の実施を最初に発案したことを誇りに思うと述べたとテレビ局は報じている。
ニュースアジアによれば、「ブラック・ライブズ・マター」(BLM、黒人の命は大切だ)などの人種差別撤廃運動が盛んに行われ、世界では大坂なおみやレブロン・ジェームズといった選手が活躍しているにもかかわらず、スポーツにおいても人種差別はあるという。そしてブラジルのスポーツ界も例外ではない。たとえば、2003年の世界選手権で金メダルに輝いたブラジルの体操競技選手、ダイアネ・ドス・サントス(38)は、チームメイトに並んでトレーニングをするのを拒否され、またコーチには、黒い肌の女子が体操選手になろうと思うなんて驚きだなどと言われたことを告白した。ドス・サントス氏は、今回のブラジルオリンピック委員会の発案を全面的に支持する立場を表明し、こうした人種差別撲滅に向けた講習は必要かつ重要なものだとの見方を示した。
ニュースアジアの報道によれば、ブラジルの法律では人種差別的な行動に対しては、罰金もしくは最大3年の懲役が課せられる。ブラジルオリンピック委員会は、あらゆる人種差別を禁じたオリンピックの倫理的行動規範の違反した者に対し、罰金を課したり、罰する権利を有している。
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