クルクミンを抗コロナウイルス剤として使用する考えは、クルクミンがウイルス酵素を抑制し、感染症による炎症プロセスをモジュール化する能力をもつことに関連する。抗ウイルス作用の範囲はC型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプスタインバーウイルス、A型インフルエンザウイルスに及ぶ。
これまで複数の研究では、クルクミンのウイルス抑制力について、クロロキンやヒドロキシクロロキンといった薬剤よりも効果があり、ウイルス負荷の低減速度もはるかに高く、病気の進行を防ぐことが何度か報告されてきた。
新型コロナウイルスSARS-CoV-2に関しては、クルクミンがウイルスとヒト細胞標的との相互作用をブロックし、細胞に付着するウイルススパイクタンパク質だけでなく、ウイルスが細胞に侵入する際に結合するACE2受容体も抑制することを証明する研究は複数存在する。
今回の研究では、クルクミンを体内に運ぶナノ構造システムを構築することが提案されている。システムでは担体としてナノエマルジョン、ナノジェル、ミセル、ナノ粒子、リポソームが使用される。このような担体はクルクミンの代謝分解を防ぎ、溶解度を高め、生体膜の通過を手助けする。特にナノ粒子への期待が高まっている。
現時点で、クルクミンを成分とする入手可能なナノ構造剤は少なくとも3つ市販されている。研究グループはできるだけ早くこれら薬剤の臨床試験を開始するよう呼びかけている。
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