政権与党の意見
実際、自由民主党の執行部メンバーは、コロナウイルスのパンデミックが大会開催を困難にするのであるならば、東京五輪は今後中止となる可能性があるとの考えを示した。自民党の二階俊博幹事長は、「それは当然だ。オリンピックでこの感染病をまん延させたら、何のためのオリンピックか分からない。そこはその時の判断で良い」とコメントしている。
ロシア側の見解
パンデミックは、人々の暮らしの脅威であり、そして非常に深刻な不安の根源となっていることは疑う余地がない。しかし、日本政府が感染症に対する安全策(検査と無観客)で先例のない措置を講じようとしていることから、選手と国民の健康上のリスクは最低限に抑えられえることが予想される。
法的見解
スポーツ法学者で弁護士のアンドレイ・ブリロフ氏は、同じく、東京五輪の中止の可能性は低いと考えている。同氏によれば、こうした重要な決定に際しては、疫学的だけでなく、法的根拠も検討される必要があるという。「IOCを含めたすべての国際機関の活動は、主要な国際法の原則にもとづいている。その1つとして相互主義が上げられる。これは各国の義務的な意思の合意を意味する。五輪開催では、日本政府とIOC、組織委員会にその責任が生じる。(一方で)決定に際しては、国としての日本の主権が存在する。また、もう一方で、何らかの決定に賛意を示すすべての参加者の意思というものも存在している」。
このように国際法の原則は、日本政府とIOCの間で慎重な決定が下されること、すべての関係者によって十分に検討されることを求めている。この場合、五輪開催のメリットについて、アンドレイ・ブリロフ氏は次のように考えている。「(たとえばIOCの)意思を表明する際には、五輪開催国への内政不干渉の原則を堅持する必要がある。しかし、国際法は、同時にそして当初から、一般的合意に対して、(各参加国が)特定の権利を拒否することを前提としている。 たとえば、IOCまたは組織委員会の見解を日本が拒否するということだ」。
そしてこれまで日本政府が五輪開催を公式に否定してこなかっただけに、関係者間では今後のさまざまな事態の進展に際しても、今でも開催がコンセンサスとなっている。
安全を優先
逆にIOCと日本は、各所の人数を可能な限り削減することで、おそらく、もっとも「安全な大会」となるだろういくつかの案を考案することで足並みを揃えている。こうしたことから五輪開会セレモニーへの選手の出場は半分となることが想定され、これまでの1万1000人から2000人だったものが6000人程度になる。さらに海外からの観客は予定されず、日本のファンの来場も見送られる可能性がある。
日本の奇跡を願う
しかし、もう1つとても重要な事実が存在する。それは日本人の多く(アンケート調査による)は五輪開催に反対しているということだ。同時に(可能性として)、日本にやってくる外国人選手らは、日本人が接客好きと彼らの感染症対応での文化、五輪開催の安全性を信頼している。
また、雑誌『Time』はつい最近、(パンデミックの第1波から日本が抜け出すことに成功した原因を分析し)このことがちょうど43の成功要因によると分析を行なった。その主要なものとして、マスク着用と密集を好まないという日本人の文化が上げられる。また、「多言語で会話をする人たちと比べ、日本語は潜在的にウイルスを含んだ飛沫が少ない」という特異な考えも指摘されている。
このようにスポーツ界は、日本で奇跡が起こることを大いに期待している。そして、そのことが開催中止から五輪を救い、この大会がパンデミックへの重要な勝利の証となることを願っている。
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