インターネットサイト「The Vice」は、この新機能ではチップを送った人と送られた人の住所が開示される可能性があると報じている。ソーシャル・プルーフ・セキュリティー社のレイチェル・タバク代表は、自身のツイッターに投稿した中で、オンライン決済サービス、ペイパルPayPalから受取人に送られてくる領収書に、送金者の住所が記されていることを確認したと指摘している。
タバク氏は、ペイパルはまず、どのような情報を収集しているかを明らかにし、またその情報を他のユーザーと共有することをやめるべきであり、またこれについて多くのユーザーがこの事実を知らないとして、ツイッターは新機能「Tip Jar」の利用が守秘義務にどのような影響を持つのかについてユーザーに説明する責任を果たすべきだと指摘している。
またサイトからのインタビューの中でタバク氏は、多くの人がネット上では完全な匿名性が守られるものだと考えているが、この新機能はこれを完全に覆すものだと指摘している。
これに関連し、ツイッター社のプロダクト責任者のケイヴォン・ベイポー氏は、ペイパルがユーザーの住所を表記することについて、ツイッターはそれを管理することはできないとしつつ、その事実をより広く人々に知ってもらうためできる限りのことをすると明言している。
一方、ペイパルのトム・ハンター広報官は、ペイパルには2種類の送金方法があると説明している。ユーザーが「商品とサービス」に対する支払いとして送金する場合には、受取人に住所が開示されることになっているが、「友人や家族」への送金を選択すれば、受取人に住所が知らされることはないという。
ハンター氏は、「たとえば、主に商品やサービスの販売に使われるビジネス用のアカウントがありますが、このアカウントでは、商品とサービスに対する支払いという方法が自動設定されています。これはペイパルの標準機能です。わたしたちはツイッターと緊密に協力し、ペイパルの送金サービスがどのように機能しているのかについてユーザーに説明していくつもりです」と述べている。
インターネットサイト「The Vice」がペイパルを通じてツイッターのユーザーへの送金を試してみたところ、自分で送金の方法を選ぶことができることが分かった。しかも、自動的に「家族や友人」への送金が設定されていたという。
一方、守秘義務と個人情報の安全に関する研究を行っているアシュカン・ソルタニ氏は、新機能「Tip Jar」の持つ別の問題を指摘している。ソルタニ氏によれば、ユーザーがその人物に送金する意思がない場合でも、受取人がペイパルに登録している電子メールアドレスを知ることができる可能性があるという。
ソルタニ氏は、「ツイッターやフェイスブックといった大手IT企業が、きちんと精査されていない製品、とりわけユーザーのネット上および物理的な安全を大きく損ねる可能性があるようなサービスをリリースすることはきわめて遺憾なことです。多くの人たちは、さまざまな理由によって、本当の個人情報は秘密にしておきたいと考えています。職を失ったり、ツイッター上でつぶやく見解を追跡される可能性がある場合はとくにそうだと思います」と述べている。
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