1995年、BBCの報道番組「パノラマ」でダイアナ妃とバシル氏とのインタビューが放送された。そのインタビューで、ダイアナ妃はチャールズ皇太子の不倫と別居について初めて率直に語り、チャールズ皇太子とカミラ・パーカー=ボウルズ氏(現コーンウォール公爵夫人)の関係を念頭に置き、「結婚生活には3人がいた」と明かしていた。翌年、チャールズ皇太子とダイアナ妃は離婚し、そして1997年8月31日、ダイアナ妃は交通事故で亡くなった。
2020年11月、英民間放送ネットワーク「ITV」がチャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚生活が破綻した原因となったインタビューの状況に関する調査結果を発表した。ITVはその調査で、マーティン・バシル氏は、ダイアナ妃が監視されているという偽の書類を使ってインタビューにこぎつけたと結論づけている。
2021年5月20日、BBCが委託した独立した調査により、これらの事実が確認された。また、バシル氏が偽の書類について同局の経営陣に嘘をつき、上司は結果的にそのことを放置することにしたことも明らかになった。その後、BBCは英王室に正式な謝罪を行った。
ウィリアム王子とヘンリー王子は今回の調査報告を受け、バシル氏とのインタビューがダイアナ妃の死に間接的に影響を与えたとの見解を示した。
ウィリアム王子は、「この欺いたやり方が、インタビューでの母の発言に影響を与えている。このインタビューは、私の両親の関係悪化の大きな原因となり、他の人々にも計り知れないダメージを与えた。BBCが犯した過ちが、私が記憶している晩年の彼女(ダイアナ妃)の恐怖や偏執症、孤立に大きく影響したことを知り、悲しく思う」と述べている。
またウィリアム王子は、BBCがすぐに適切な調査を行わず、母親がバシル氏に騙されていることに気づかなかったことにも遺憾の意を示し、「彼女は不誠実なジャーナリストだけでなく、厳しく問いたださずに状況を見て見ぬふりしたBBCの経営陣にも失望させられたのだ」と述べている。
ヘンリー王子は、メディアで今も続いている「搾取の文化と非倫理的な慣習」がダイアナ妃の死の原因となったと指摘している。
ヘンリー王子は、「私たちの母はこれが原因で亡くなったのに、何も変わっていない。私たちは彼女が残してくれたものを守ることで他の人々を守り、彼女の人生の威厳を守ることができるのだ」との声明を発表した。
5月中旬、BBCニュースの宗教担当編集長を務めていたマーティン・バシル氏が辞職したことが明らかになった。
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