インドにおける真菌感染症とコロナウイルスの状況はどれほど深刻なのか?

インドでは、新型コロナウイルスの感染者の間で、きわめてまれな真菌感染症である「ムコール症」が急増している。インドで「ブラック・ファンガス(黒い真菌)」と呼ばれるこの感染症の患者数はインド国内で9,000人に近づきつつある。
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「スプートニク」はこの新たな感染症の急速な拡大が世界に脅威を与えるものなのか、また特にどのような人たちに感染のリスクがあるのか、専門家に取材した。

生活の中にあるカビ

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モスクワ大学生物学部真菌学・藻類学科のマクシム・ヂヤコフ教員は、カビというものは日常生活にも自然の中にも常に存在しているものであり、カビという言葉に恐怖を感じる必要はないと指摘し、次のように述べている。

「わたしたちが吸っている空気中には、様々な場所から飛んでくる目には見えない微小のカビの胞子があふれています。しかし人間の身体は真菌感染症に対して高い免疫力を持っています。真菌感染症が感染症として危険となるのは、免疫機能が低下しているときだけです。それはたとえば、後天性免疫不全症候群(エイズ)の最終段階、あるいは新型コロナウイルスで重症化したあと免疫が著しく低下したときなどで、そうなると真菌感染症は、粘膜や肺にも感染を起こす可能性があります」。

ロシア消費者権利保護・福祉監督庁も「スプートニク」の取材に対し、同様の見解を示し、「ブラック・ファンガス」は世界のほぼすべての国で広く見られるものであり、自然環境のあらゆる場所にいる腐生植物だと説明している。この真菌は家の中(きわめて湿度の高い屋内)では、壁紙の裏や部屋の隅に発生するもので、一般的には人間に病気を引き起こすものではなく、強力なアレルギー源となるものだという。しかし、免疫が著しく低下したときには、まれに日和見感染を起こすことがある。ヘルペス、カンジダ、パピローマなど、免疫機能が損なわれたり、低下しているときに症状が出る感染症である。

なぜインドで真菌症が急増しているのか?

この問いに対し、ロシア消費者権利保護・福祉監督庁「中央疫学研究所」、感染症臨床部長で、ロシア科学アカデミー準会員で医学博士のアレクサンドル・ゴレロフ教授は、次のように答えている。

 「インドは湿度が非常に高く、1年を通じた平均気温が高いことから、真菌胞子の濃度は、穏やかな気候の国に比べて、その何倍も高いものです。そこで、自然条件や地理的な理由から、真菌感染症は東南アジア諸国でより深刻なものになるリスクがあります」。

一方、インド紙「エコノミック・タイムズ」は、インドでは、文字通り、黒い真菌だけでなく、白い真菌、あるいは黄色い真菌の感染症も広がっていると伝えている。それによれば、それぞれの真菌にそれぞれの感染部位があるといい、しかも「黄色い真菌」は爬虫類にしか発生していなかったという。

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「黒い真菌」の感染により、インドでは多くの人々が眼を失っている。患者の生命を救うためには眼球を摘出しなければならないからである。そうしなければ、感染は脳へと広がり、死に至らしめる場合もあるという。

真菌は身体のどの部位に感染するのか?

アレクサンドル・ゴレロフ氏は、真菌はどこからでも体内に入り込むと述べている。

「現在、インドでは、真菌感染症が急速に広がっています。ですから、(手についたり、目の粘膜に真菌が入った)人が目をこすることで悪化させてしまう可能性があります。しかし、もっとも多いのは口から胃や腸の消化管に入り込む場合です。呼吸器官を介して肺にも感染します。感染は血液を介して全身に広がり、真菌は体内のあちこちに感染します」。

循環器は浄化し、体を守る

しかしながら、ヒトの血管の中は無菌状態であり、菌が血液の中に入ったとしても、30〜40分以上生きることはできないとアレクサンドル・ゴレロフ氏は指摘する。

つまり、ヒトの血液は自ら浄化する力を備えているが、それは体内の免疫機能が正常であるときに限られる。免疫が低下すると、浄化する力は失われ、真菌性のものを含む敗血症を引き起こす。

真菌感染症から身を守るには?

免疫系を真菌感染症から守る方法は実は非常に簡単なものである。マクシム・ヂヤコフ氏は、洗浄剤や医薬品を誤用してはならないと考えている。

「菌を恐れる必要はまったくありません。ヒトの身体の3キロから5キロは菌で出来ているのです。菌はわたしたちと共存しているものなのです。菌はわたしたちの身体を最初の感染から守り、健康を監視してくれています。それは、たとえば、消化吸収を高めてくれる菌など、わたしたちにとってなくてはならない善玉菌です。しかし、抗生物質や抗菌剤(石鹸、ウェットティッシュなど)を不適切に使うと、体内の菌の機能を弱めることになるのです。そして善玉菌がいなくなったところに真菌が入り込むことになるのです」。

現在、インドで広まっている真菌感染症は、新型コロナウイルスの治療に際する副作用症状である。もっとも多い感染者は糖尿病患者だという。そこで、医師らは新型コロナ、そして真菌感染症から最大限身を守るためには、糖尿病患者も健康な人々もワクチン接種をするしかないと勧告している。

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インドの病院では現在、病床が不足する事態となっている。加えて、不衛生が状況をさらに深刻なものにしている。というのも、インドでは、多くの人々が今もトイレなどの一般的な衛生設備がない状況に置かれているからである。2015年にインド紙「インディアン・エクスプレス」デジタル版では、両親にトイレを設置してほしいと頼んだインドの少女が、貯金は結婚費用のためにとって取っておかなければならないと拒否され、自殺したというニュースも報じられた。

しかし、衛生的な条件を整えることは、年齢を問わない人々が危険なウイルスとの戦いで体力を失っているパンデミックの条件下での真菌感染症の予防にとって重要なものである。現在、これまで知られていなかった新型コロナウイルスとの戦いの治療において、医師たちはときに実験的、あるいは本能的な行動をとっている。

そこでインドの医師らの間でも、真菌感染症は、新型コロナによる重症化患者へのステロイドの使用によるものではないかとの予測が広がっている。しかしこれを学術的に証明するのはまだ先のことである。現時点でただ一つはっきりしていることは、免疫の低下と不衛生は、あらゆる感染症の大敵であるということだけである。

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