週刊文春によれば、パウンド氏は日本国民の大半が大会開催に反対である実情を「残念」と述べ、科学的見地から開催による追加的リスクはないと断言した。さらに、日本国民の反対論はそれを「無視」したもので、「開催したらきっと成功を喜ぶことだろう」と語っている。
また観客動員についてはパウンド氏は、観客は雰囲気を味わうためにいることはいいことだが、大多数の人がTVで観戦するため、生の観客は「必須ではない」と断言した。外国からの観客が動員ができないために経済効果が格段に落ちることには配慮がなかった。
本滞在中のアスリートの健康面についてはパウンド氏は、母国出国前に何重もの検査を受けた上で成田空港に到着し、入国の際も検査を受け、誰とも接触しないまま選手村入りするため、心配はないと語っている。日本でワクチン接種が遅れていることに関しても、遅れは不可解としながらも、「マスクや手洗い、ソーシャルディスタンスを取ることなどでリスクをほぼゼロにすることができる」と言い切っている。
五輪開催中止の争点についてパウンド氏は、IOCのとっては「許容できないリスクがあるかどうか」が決め手となるものの、「科学的にすべてはコントロールできる」ため、中止が検討されることはないことを暗に示している。
週刊文春側はさらに、日本国民の民意を代表する政府、菅首相が大会中止を決めた場合にまで踏み込んでパウンド氏に訊ねると、「仮に菅首相が『中止』を求めたとしても、それはあくまで個人的な意見に過ぎない。大会は開催される」と押し切った。
文春オンラインは26日16時すぎにこのニュースを配信したが、それから5時間半の間にすでに5700件を超えるコメントが書き込まれており、その数はまだ増え続けている。大半のコメントがIOCの姿勢は「無礼」「傲慢」で「日本は主権国家ではないというも同然」と屈辱感と怒りに満ちている。またリスクを「科学的にコントロールできる」という発言に「証拠を示して欲しい」と詰め寄る意見も。これまでもIOCが権威の大きい組織として世界に君臨していることは周知の事実だったが、パウンド氏の率直な発言でそれが改めて浮き彫りになった。
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