スポーツの祭典の開幕日が近づくほど、社会状況はますます熱を帯びてきた。スプートニクは最近出された最も目覚ましい中止要請を列挙してみた。
- 「自殺行為」
楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は東京五輪開催を「自殺行為」と呼び、日本政府に対して開催中止を呼び掛けてた。ANNニュースからの取材に三木谷氏が答えた動画はすでに15万回も視聴されている。
- 「人々の命と暮らしを守るために」 大会中止を求める署名活動
法律家の宇都宮 健児氏も大会中止の署名活動に乗り出した。この記事を執筆している段階ですでにほぼ40万人の署名が集まっている。次なる目標は50万人の署名だが、この勢いで進んでいる以上、目標達成は間近だろう。
- 医者たちが予見する恐怖のシナリオ
5月13日、勤務医で作る労働組合「全国医師ユニオン」 が日本政府に対して東京五輪・パラリンピックの中止要請をし、大きな注目を集めた。要請文には「ワクチンの効果が大幅に低下するウイルス株が生まれ世界的に拡大すれば、世界各国がとってきたワクチン政策が無に帰します」と訴えが書かれている。
- 「首相はよくよく考えねばならない」 朝日新聞の切なる要求
東京五輪のオフィシャルパートナーである朝日新聞もが5月26日、社説に「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」という見出しで大きな記事を表した。記事のサブタイトルには「生命・健康が最優先」「首相はよくよく考えねばならない。小池百合子都知事や橋本聖子会長ら組織委の幹部も同様である」と切々とした呼びかけが書かれている。
- 世論調査では大多数が「反対」
五輪開催中止についてはいくつもの世論調査が実施されている。読売新聞の調査では日本国民のほぼ60%がコロナウイルスの感染拡大を危ぶみ、大会中止ないしは延期に手を上げている。
この他、島根県の丸山知事も大会は「開催すべきではない」と明言した。また、東京都の小金井市議会の有志11人が、「東京オリンピック・パラリンピックの開催を中止することを求める緊急要請書」を菅首相などに送付した。
そうした中、IOCジョン・コーツ調整委員長から、たとえ東京都に緊急事態宣言が出ていても大会は実施するという発言が飛び出した。同時に旅行代理店のJTBも大会の観戦ツアーの販売を開始。ツアーは18泊19日で1人450万円となる豪華プランも用意され、このほかにもコロナに感染した場合の保険もセットされている。
スポーツ史学家のオリガ・ログリナ氏は、日本の役人たちは大会中止の発案を自分たちから出すのではなく、IOCの側から出されるのを待っているとの考えを示している。その方が、日本政府は「体面を保つ」ことができるからだ。ところが日本国民の世論やコロナの感染状況に反してIOCのバッハ会長は大会は計画通りに実施されると自信を示した。