シベリア鉄道の建設は、厳しい気候条件の中で行われた。線路の大部分は、人口の少ない土地や人が住んでいない土地、通行不可能なタイガに敷かれており、鉄道はシベリアの大河、多くの湖、湿地帯や永久凍土の地域を横断する。建設には主に受刑者や兵士、地元の農民が参加し、9000から2万人もの人々が様々な段階で関わった。
建設の多くは手作業で行われ、使われた道具も斧、のこぎり、シャベル、手押し車などとても原始的なものだった。それにもかかわらず、年間で約50万から60万キロの線路が敷かれた。
建設に要した年月は25年。ロシアは、シベリア鉄道の建設に10億4500万ルーブル(現在米ドルで約250億ドル。約1146億円)を投じた。
シベリア鉄道数千キロの旅 車窓からロシアを見て、好きになってみませんか?
モスクワからウラジオストクまでは、ほぼ1週間かけて運行する。シベリア鉄道は、2つの大陸をまたぐ9000キロ超の世界最長の鉄道で、観光客はほんとうのロシアを知るためにこの鉄道に乗車する。多くの旅行者が、車内でロシア人の性格やロシアの本当のスケールを知ることができると語っている。
シベリア鉄道の観光プログラムを作成するヴェロニカ・クゼンコワさんは、以下のように語っている。
「シベリア鉄道で旅をすると、まるで山を登っているような気分になる。よじ登っているわけでもないのに、景色や時差、町や乗客仲間がどんどんかわっていくので、まるでエルブルス山(ロシア最高峰)に登ったような気分になる。この旅は、神経質な人には向いていない」
車内で過ごす素晴らしさ
モスクワのヴャチェスラフ・グラズコフさんは、「これは人生のようなものだ。どこかに急いで行くこともなく、乗客仲間と知り合い、車両独特の生活に慣れ、窓の外に広がるロシアの景色が変化していく様を目の当たりにする。バイカル沿岸を数時間鉄道で移動するだけで、数千キロを移動する価値がある」とシベリア鉄道での旅について語っている。
ロシアでは最近、モスクワ・ウラジオストク間の旅行が盛んに行われている。外国人旅行客にも人気の路線で、路線や車内生活の理解を深めるための手引き書も用意されている。
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