スプートニクは専門家らに取材し、代表選手の選考基準について、また、ザギトワに再度五輪の野心を証明するチャンスを与えないことがスポーツの観点からして公平な判断かどうか、見解を尋ねた。
つまり、ザギトワやメドベージェワには北京五輪でメダルを狙う実際的な可能性があるのだろうか、それとも客観的な実績からするとそうしたチャンスは彼女らを傷つけないためのまやかしなのだろうか。
一番の決め手は実績
コーチのイリーナ・ゴンチャレンコ氏はスプートニクからのインタビューに答え、代表団の選抜で一番の決め手となるのは選手の実績だと断言している。
「五輪前のシーズンの大会にはザギトワもメドベージェワもほとんど姿を現しませんでした。おそらくはこれが代表団リストに記載がない理由でしょう。ただスポーツというのは予想がつかないものですし、五輪シーズンには、良いことにしろ、悪いことにしろ、本当に思ってもみないことが起きるものです。たとえば主要メンバーに怪我人が出て、リストから外されるとか、シーズン中には見向きもされなかった選手が五輪直前になって突然、ぐんぐん伸び初め、誰も予想だにしなかったすごい成績をあげるとか。前提的な五輪参加メンバーの確認はあり得ます。欧州チャンピオンのアリョーナ・コストルナヤは昨シーズンは振るいませんでしたが、シーズン終了後の商業ベースのアイスショーでは復活を成功させたトリプルアクセルを軽々と跳んでいますからね」
コストルナヤはすでに五輪ロシア代表の補欠から主要メンバーへと移る将来性があることを見せつけている。おそらくゴルシコフ会長の発言はまさにこの、ザギトワとメドベージェワの参加のチャンスも消えたわけではないことを示していたのだろう。
ありうるサプライズ だが可能性は低い
ゴンチャレンコ氏は、そうはいってもトゥトベリー・チームの若き女子スターらがシニア入りをしばかりのシーズンで秀逸な成績を収めて獲得した権利をそうやすやすと渡すわけはないと釘を刺した。
これに加えてアンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トルソワ選手だって数々の戦績があり、五輪で最高のメダルを取るんだという気概に十分に満ちている。
僻まないメドベージェワ
メドベージェワ自身は現段階で前提的に五輪代表団に選ばれなかったことについて、公平な判断と考えている。自身のインスタグラムには次のように書いている。「昨シーズンはずっと、健康問題で出られなかったのだから、昔の達成を理由に私をリストに入れるほうが不公平。客観的に見て、今すぐにもリスト入りする貢献をした子たちがいますから」
だがメドベージェワは五輪で金を掴むという自分の夢は結局は叶えていない。このため、五輪を永久にあきらめる覚悟はついていないはずだ。それを物語っているのが彼女が付け加え次の言葉だろう。「フィギュアスケートというスポーツでは全てがすごいスピードで変化します。来シーズンをスルーし、また復帰して結果を出すことだってできる。そんな例はフィギュアの世界には多く存在しています」
ザギトワは偉大な選手の事実をすでに証明
一方、アリーナ・ザギトワに関してはなんとしても代表選手に選ばれたいというモチベーションはそれより低いかもしれない。エレーナ・ラジオノワは次のようなファクターを挙げて、その理由を説明している。
「アリーナはフィギュア界の王冠の全てを勝ち取ったんですよ。五輪金メダリストで、世界チャンピオンで、欧州チャンピオンで、グランプリシリーズ・ファイナルのチャンピオンですからね。自分にも他人にも自分が最高であることを見せつける必要はないんです」
五輪金メダリストのザギトワは日本からの帰国後、エテリ・トゥトベリーゼ氏がチーム編成を行うベースキャンプとするノヴォゴルスクを訪れた。ザギトワは練習風景を撮影し、インスタのストーリーで公開しているが、それを見ると彼女は屋外のトラックを飼い犬と一緒に走っているらしい。
このことから、タイトル王者のザギトワは(メドベージェワも同様だが)今の段階ではスポーツの大会から身を引くつもりはないらしい。
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