研究のきっかけとなったのは、コロナウイルスに罹患した患者の神経学的な合併症の報告の増加だった。感染から回復しても症状は改善されなかったため、研究者たちは、人工知能を用いて、コロナウイルスのキャリアーの遺伝子やタンパク質と、神経疾患患者の遺伝子やタンパク質の関係を分析し、SARS-CoV-2ウイルスが脳細胞に感染する遺伝的要因についても調べた。
その結果、医学研究者は、コロナウイルスに感染した脳細胞と、認知症患者の脳細胞との間に密接な関係があることを突き止めた。研究チームを率いるフェイシュン・チェン博士は「SARS-CoV-2感染は、脳の炎症に関わるアルツハイマー病のマーカーを大きく変化させることがわかった」と説明している。
同チームは研究の結果、個別のケースでコロナウイルスの感染は認知症、その他のアルツハイマー特有の神経性の病気を起こすという帰結に達している。
また、2月の研究で、認知症発症のリスクを高めるApoE4遺伝子は新型コロナウイルスへの感受性を高めることも判明した。