研究に使われたのは2020年10月から2021年1月の間にコロナウイルスに感染し、感染の前後に核磁気共鳴画像法(MRI)で脳の検査を行った394人の検査結果。これをコロナウイルスに感染しなかった388人からなるコントロールグループの結果と比較し、その際に性別、年齢、国籍、体重、血圧が考慮された。
その結果、コロナに感染した患者には一時嗅覚と味覚のシステムに直結している大脳皮質の辺縁系領域で灰白質が失われていることが明らかになった。一方で感染しなかった人にはこうした喪失は一切見られなかった。
この帰結を確認するため、専門家らは入院したコロナ患者と自宅で療養した患者のデータを比較したがその結果、大きな違いは見られなかった。しかも入院した患者のほうが、帯状皮質、中央扁桃体核、および海馬の一部の領域で、より顕著な灰白質の減少が見られた。こうした領域はすべて記憶、感情の形成と関係がある。
研究者らは、コロナウイルスに罹患した人達に対し、軽度の感染も脳の障害を起こしかねないため、時期を外さず検査を行うよう進言している。
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