心臓発作の薬が開発される そのベースは危険なクモの毒

心筋梗塞を患った多くの人々の命を救うため、世界で最も危険なクモの毒から抽出された物質をベースにした薬が、研究者らによって開発された。この研究に関する論文は、学術誌「Circulation」に掲載されている。
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心筋梗塞を発症すると、心臓への血流が低下するため、心筋は酸素不足となる。酸素が不足すると、細胞環境が酸性になり、分子レベルでは心臓の細胞に死のシグナルが送られることになる。

心臓発作から回復させるタンパク質 研究者らが発見
何十年にもわたる研究にもかかわらず、この「死のシグナル」を止める薬の開発は今まで成功していない。臨床現場では現在、心臓発作心筋梗塞によるダメージを防ぐ薬はない。

今回オーストラリアの研究者らは、同国東部のフレーザー島に生息するタナグモ科の毒クモに含まれる特殊なタンパク質Hi1aをベースにした薬を開発した。このHi1aは心臓の酸に反応するイオンチャンネルを遮断し、「死のシグナル」が心臓の細胞に運ばれるのを防ぐことができる。これにより、細胞死が減少し、心筋梗塞の患者の生存率が高まる。

研究者らは、この薬はドナー(臓器提供者)からの心臓の寿命を大幅に伸ばすことができ、毎年世界中で心臓発作に苦しむ何十万人もの人々を助けるだけでなく、移植を待つ人々にも希望を与えることができると考えている。

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