ナッツを割るために物を使う行動は、動物が道具を使う行動の中でも最も難しい例の1つだという。今まで野生の動物でこのような行動がとることが知られていたのは、チンパンジー、オマキザル、マカクのみだった。
ドイツ・チュービンゲン大学の研究者は今回、オラウータンにもこの能力があることを発見した。研究者らは、ライプツィヒ動物園のオラウータン4匹、チューリッヒ動物園のオラウータン8匹に、ナッツ、「ハンマー」となる木の幹を切ったもの、「ハンマー台(アンビル)」となる切り株を用意した。その結果、全12匹のうちの8匹はハンマーを使いこなすことができず、歯を使ってナッツを割っていたが、4匹は自主的にハンマーをうまく使ってナッツを食べていた。
この研究論文の筆頭著者であるエリサ・バンディーニ氏は、「オラウータンは、この複雑な行動を自ら身につけることができた。今回の研究結果は、このようなスキルは個体間での知識の伝達が必要であるという科学界の通説を覆すものである」と指摘している。
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