ニューヨーク・タイムズ紙:サイバー戦争が世界をより安全にする?

サイバー戦争は大国間の対立の危険なエスカレーションを引き起こすおそれがあるが、しかし、この戦争が全体的には不要な犠牲を回避し、世界をより安全にする可能性があるということは排除できない。なぜなら、デジタル戦争が人々の犠牲を生むことなく政治的目的を達成する唯一の機会となっているからだ。ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。
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今日、大国には世界を滅ぼす大型核兵器は必要がなく、サイバー攻撃によって彼らは、さまざまな民間および軍事的施を無効にし、社会を破壊することができる。また、報道によれば、サイバー攻撃はさまざまな不快な結果を引き起こすが、それらが人の犠牲を生んだことはこれまでないと強調する。ニューヨーク・タイムズ紙は、これからの国々はミサイルや砲弾を使うことなく、オンライン空間で戦うことになるのか、解明を試みた。

現実の暴力を減らす手段としてのサイバー戦争

同紙は核戦争の拡散を防止する2つの試みを比較している。2007年、イスラエルは核原子炉があると見られるシリアの施設に対し大規模な空爆を行った。同施設は破壊されたが、しかし、イスラエルは他国の主権を脅かす侵略者と呼ばれ、爆撃によって北朝鮮の数十人の研究者らの命を奪ったとして非難された。

急増するサイバー犯罪の年間被害額 10年後には火星移住計画費用の30倍に
しかし、同紙によれば、ほぼ同じ時期に米国とイスラエルがイランに行ったサイバー攻撃は、実質的に見過ごされたままとなったという。デジタル攻撃は空爆や人的被害を伴わずに行われたが、しかし、イランの核プログラムをストップさせることができた。マルウェアは、ウランの濃縮を行う遠心分離機の約20%を破壊した。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、まさにこの作戦の成功がイスラエルがイランの核施設に通常の空爆を行うことを抑止し、多くの人命を救うこととなったという。

合理的なサイバー兵器の活用法とは?

同紙の報道によれば、サイバースペースでの戦争が犠牲者を生まない対立に変えることができるなら、今が適切な方策の適用を調整する不文律や条約を立案する時期であり、サイバー戦争がサイバー空間から現実の戦場に移らないうちに、しかも、できる限り早くこれを取り組むことが求められているという。多くの技術部門の指導者らは、すでに「デジタル版」ジュネーブ条約の作成を承認している。この条約はサイバー戦争のルールを法制化し、同様に、民間のインフラに対するサイバー攻撃を公式に禁止している。

ニューヨーク・タイムズ紙によれば、サイバー攻撃が行われている場所の特定で間違いを避けるため、各国は敵対者との緊密な連絡を維持する必要がある。これは虚偽の告発を予防し、状況のエスカレーションを未然に防ぐことになる。しかもサイバー空間での連絡の維持は、より効果的に商業的サイバー犯罪を抑止する力となる。

同紙は、「一連のゲームのルールの存在としかるべき管理の下では、国家間のサイバー戦争はすでにそれほど悪いものではないと見らえる可能性がある。なにしろ命を危険に晒すかわりに、実際、サイバー戦争は命を救うことができる。そして、新たな大規模コンピューターハッキングについてのニュースが流れた際に、この重要な考えを毎回思い浮かべる必要がある」と指摘する。

以前、通信社「スプートニク」が報じたところでは、ロシアはサイバー空間での犯罪行為の抑止に関心があり、すでに国連の特別委員会にサイバー犯罪および暗号通貨の犯罪上の使用への対応に関する条約プロジェクトを提案している。

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