なぜ日本の海上保安部に大型巡視船が必要なのか?

2021年11月、沖縄・尖閣諸島にあたる石垣海上保安部(石垣市)に、海上保安庁最大級の新たな巡視船が配備される。第11管区海上保安本部(沖縄県那覇市)が明らかにした。配備されるのはヘリコプター搭載型の大型巡視船「あさづき」(PLH–35)。
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石垣海上保安部は、日本最大の保安部で、その規模は横浜よりも大きく、12隻の巡視船が配備されている。また第11管区は沖縄・那覇にすでに6隻の巡視船を保有しているにもかかわらず、なぜ新たな巡視船が必要なのか。

高い射撃能力

あさづきは、しきしま型大型巡視船で、この巡視船が日本で配備されるのはこれで5隻目となる。3隻は鹿児島、そして1隻は横浜にすでに配備されているが、今回、これが石垣に新たに配備されることになった。
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この大型巡視船は、満載排水量9,300トンで、他のタイプの巡視船と比較すると、装備の内容がはるかに優れている。あさづきには、ボフォース40ミリ機関砲が2つ、20ミリ機関砲JM-61(米国のM61バルカンの1種)が装備されているが、どちらの機関砲も海上の目標物および低高度の飛行物体を攻撃することが可能である。また航海用レーダーよりもさらに高い性能を持つ水中・地上探知レーダーも備わっている。日本の2次元レーダーOPS–14は110海里離れた地点の航空機やヘリコプターを探知することができる。石垣海上保安部の巡視船団を主に形作っているのは、探知レーダーもなく、20ミリ機関砲JM–61が1門しか装備されていない、くにがみ型巡視船である(石垣には、くにがみ型の巡視船全体の半分にあたる10隻が配備)。また同保安部に配備されているはてるま型巡視船は、ブッシュマスターII30ミリ機銃が一門装備されているものである。つまり、あさづきは、射撃能力で見ると、従来型の巡視船の4倍にも相当するのである。
巡視船は、係争地での銃撃戦を伴う衝突があった際にときおり出動する。より強力な装備を持つ船舶が、敵を撃退するより高いチャンスを持つことになる。加えて、日本の巡視船の等級を把握し、機関砲がいくつあるのかをチェックした後でも、その巡視船を煽動しようとする敵はそうはいない。
もっとも重要なのは、この新たな巡視船は領空侵犯を発見することができ、必要があれば、警告射撃を行い、相手を退出させることができるということである。

大きな航続距離

このタイプの巡視船は船上に2機のヘリコプター、スーパーピューマEC225LPを備えている。これは定員24人、航続距離600海里(1110キロ)で、これは尖閣諸島から沖縄まで往復するのに十分な性能である。
このように、あさづきは、領海、領空の侵犯者に抵抗できるだけでなく、降下部隊を島あるいは敵の艦艇に上陸させることができるのである。またたとえば、特殊部隊のような支援部隊を尖閣諸島周辺に派遣することもできる。これまでの巡視船はヘリコプターを搭載することができなかったため、上陸と給油しか行うことができなかった。
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また、あさづきのような巡視船は航続距離が非常に長く、その距離は2万海里におよぶ。全速力の25ノットで航行した場合、船は800時間、つまり33日間、航行することが可能となっている。
これまでのタイプの巡視船も25ノットまで速力をあげることができるが、航続距離は4000海里で、全速力で航行したときに航行できる時間は、160時間、つまり6日半となる。石垣から尖閣まではおよそ90マイルまたは3.6時間であり、新たな巡視船は尖閣周辺の海上により長く留まることが可能なのである。
このように、第11管区海上保安本部に新たな巡視船を配備することにより、尖閣周辺の領空、領海の偵察を大きく改善することができるのである。そして、その必要性があることは明らかである。2020年、中国船の日本領海への侵入は24回、国境周辺の海域への侵入は333回におよんでいる。つまり、まもなく、海上保安庁は、こうした侵入事件に対し、ただ抗議の声を上げるのではなく、漁船を撃沈することもできる40ミリ機関砲を用いた対抗措置を取ることができるようになるのである。
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