火星の表土に宇宙飛行士の血液を加えて「コンクリート」素材に

英研究者らは、将来、火星に住宅を建設するため、宇宙飛行士の血液や汗、尿を使って、コンクリートに似た建築材料を作る方法を考案した。材料工学の専門誌「Materials Today Bio」に論文が発表された。
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研究者らによれば、太陽系の惑星への飛行探査にはきわめて多額のコストがかかる。たとえば火星にレンガを1つ運ぶのにかかる費用は200万ドル(およそ2億1,960万円)にもなるという。そこで、英研究者らは、火星で建築材料を作るための新たな方法を用いることを提案した。
英マンチェスター大学の研究者らは、唾液から出すタンパク質で巣を張るクモからヒントを得て、火星の表土(レゴリス)を複合材料の基礎とし、それを固めるための結合材として、宇宙飛行士の血液に含まれるタンパク質を利用する方法を考案した。
研究者らはこの複合材料を「アストロクリート」と名付けている。圧縮強度は25メガパスカルで、コンクリートにほぼ匹敵するという。研究者らは今後、この強度を40メガパスカルまで上昇させる計画で、それを目的として、レゴリスに宇宙飛行士の血液から得られるタンパク質に、尿や汗、涙から得られる尿素を加えるとしている。
研究者らは、1人の宇宙飛行士が月に2.5キロの材料を作ることができるとし、6人のメンバーが2年間火星に滞在すれば、その間に500キロのアストロクリートを製造することができると試算している。
とはいえ、世界の人々は、「火星コンクリート」が製造されるようになるにはまだまだ時間がかかると見られる。火星の植民地化を支持するスペースX社のイーロン・マスク氏が、火星移住計画では最初に大勢の犠牲者が出ると述べたというニュースは「スプートニク」の過去の記事よりお読みいただけます。
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