ステパノフ大使によると、「人道に対する犯罪に時効は存在しない」ことから、ロシア政府はヘルムート・オーベルレンダー被告を引き続き追及するという。取材の中で大使は、「post mortem(「死後」)であろうとも、終止符は打たねばならない」と語った。
カナダではドイツへの強制送還について裁判所で審議されていたが、被告は23日にオンタリオ州の自宅で息を引き取った。
ロシア総検察は、1942年に南部エイスク市の児童施設で発生した児童らの虐殺行為に関する刑事事件に被告が関与した容疑で、カナダ司法省に書類請求を行っている。
ロシア連邦検察委員会によると、ウクライナで生まれた被告は1942年にロストフ州で2万7000人近くが銃殺された虐殺行為に関与したという。 被告はユダヤ人の遺体処理を行うゾンダーコマンド「SS10-a」部隊で通訳として活動していた。保安庁はソ連時代、SS10-a部隊の隊員らが1941年から43年の間にかけて民間人を大量に銃殺した他、移動式ガス室で多くの市民の命を奪ったことを突き止めていた。
被告はゾンダーコマンドに勤務していたことを認めていた。ただし、被告は当時17歳で、自らもガス室に送られる可能性があったことから、ゾンダーコマンドの活動に従事されられていた主張、また殺害行為そのものへの関与は否定していた。
被告は終戦から数年後にカナダへ移住し、カナダ国籍を取得した。ただし、ゾンダーコマンドに勤務した経歴を隠蔽しようとしていたことから、国籍は後に剥奪された。
9月にカナダ移民管理局は強制送還に関する問題を検討していたが、最終的な決定に至る前に被告は死亡した。
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