ラルス・ヴィルクス氏は1980年、スウェーデンのスコーネ地方北西部にあるクッラベリイ自然保護区に、約75トンもの流木を使った彫刻「Nimis (ラテン語で「多すぎる」の意)」を、1991年に石の彫刻「Arx (ラテン語で「要塞」の意) と」の建設を開始。彫刻を発見した地元当局はこれまでに解体・撤去を要求してきたものの、地元住民の多くがヴィルクス氏の彫刻を支持してきた。
彫刻の建設に関する裁判が続く中、ラドニアは1996年6月、独立を宣言。2016年時点で世界中に約1万8000人の「国民」が存在しているという。
ヴィルクス氏はジョークとして、公式ホームページで移民の受け入れを公開していたが、ラドニアを本物の国だと勘違いしたパキスタン人約3000人が移民を申請する騒ぎがあった。申請すれば誰でも市民権が得られると知った人々から「大使館はあるのか」「ラドニアへはどうやって行くのか」などと問い合わせが殺到し、ヴィルクス氏は申請ページを閉鎖した。
そんなヴィルクス氏が今月3日、南部マルカリドの近くを警察車両で移動中、トラックとの衝突事故で死亡したことが報じられた。ヴィルクス氏は2007年、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺作品を発表したことで殺害予告を複数受け、身辺警護をつけていたという。