The Korea Timesは、大韓商工会議所の崔泰源(チェ・テウォン)会長が岸田総理にお祝いの公式書簡を送ったと伝えた。その書簡には、日韓政府が意見の違いを克服することに対する期待が記されている。しかし、韓国経済団体のトップの「融和的なジェスチャー」についてコメントした情報筋は、両国の関係が大きく改善される可能性は低いと指摘する。
2019年、韓国のハイテク企業への部品供給に対し、日本が一時的な規制をかけたことが日韓関係の危機のきっかけとなった。これを受けて、韓国では日本製品に対する大規模な不買運動が巻き起こった。
ほとぼりが冷めて久しいとはいえ、新総理のもとで日韓関係が正常化することはないだろう。このように語るのは、ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究センターの主任研究員コンスタンチン・アスモロフ氏である。「岸田氏が韓国のビジネス界の訴えにすぐに応じるとは思ません。岸田氏は2015年、日韓の歴史問題に終止符を打つための合意の準備に(外務大臣として)直接関わっていました。しかし、文在寅大統領はこの合意を誤りだと判断し、事実上、反故にしたのです。ですから、国の指導者の姿勢が変わらない限り、韓国の経済団体のトップが「単独で」日韓関係の危機を打開することはできないでしょう。そして、日本政府もそのことをよく理解しています。」
日本政府は韓国の政権に対し、歴史問題の政治利用をやめるよう繰り返し呼びかけてきたが、実際には何も変わらなかった。反日主義は韓国の政治指導者たちの国内向け政策として最も人気のあるトレンドであり続けている。
そのため、政治レベルで日本から韓国に何らかの働きかけがあるとは考えられない。しかし、日本は韓国と(特に経済面で)距離を取り続けることを望んでいない。このように語るのは、国際関係の専門家で日本研究者のドミトリー・ストレリツォフ氏である。「(たとえ盛大に伝えられることはなくとも)二国間で何らかの対話は行われるでしょう。特に、安全保障分野と情報機関同士の情報交換です。両国関係が危機的ななかでも、5月には韓国情報機関のトップが東京を訪れ、日本側カウンターパートと会談し、北朝鮮情勢について意見交換を行いました。つまり、日韓にはコミュニケーションのチャンネルがあるということで、それは両国にとってプラスです。韓国との経済協力も日本にとっては有益であり、中国との協力よりも好ましいとさえ言えます。というのも、韓国は、その国家体制も含め、日本がよく理解できる国だからです。一方、中国は権威主義的な政治体制をとっており、日本企業にとって決して透明なルールがあるとは言えません。」
そのため、韓国との経済協力は今後も拡大していくだろうが、政治レベルでは歴史問題での対立が続くだろうというのがストレリツォフ氏の見方だ。
2019年に韓国大法院が日本製鉄に対し、第二次世界大戦中の元徴用工への賠償を命じる判決を下したのは、まさにこうした理由による。日本側は、徴用工問題は1965年の日韓国交回復の際に完全に解決したと考えている。
しかし、多くの韓国人は日本政府への要求を続けている。ドミトリー・ストレリツォフ氏は次のように言う。「何十万人もの朝鮮人が日本に連れてこられ、工場で労働力として使われました。また、第二次世界大戦中、サハリン南部の炭鉱で働かされた朝鮮人も多くいました。こうした人々は今、自分たちは労働力としてこき使われ、そのままそこに捨てられたと考えています。彼らは祖国に帰ることもできず、ソビエト連邦に留まるしかありませんでした。原爆で被爆した朝鮮人もいます。彼らはアメリカを責めるのではなく、あの時、自分をその場にいさせた日本を責めています。」
しかし、新総理のもとで、日韓が歴史に関する応酬の「白紙化」を望む可能性はゼロではない。そして、そのための第一歩はすでに踏み出された。韓国の大統領は岸田氏の総理就任を祝福し、民主主義と市場経済の基本的価値を共有しながら、両国がコミュニケーションをとり、協力していくことを心待ちにしていると述べた。
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