ロシアの1回接種ワクチン「スプートニク・ライト」 接種から3カ月間のデルタ株に対する有効性は70%  ガマレヤ国立疫学・微生物学研究センターが分析

ロシア直接投資基金(RDIF、ロシア国民福祉基金)とガマレヤ国立疫学・微生物学研究センターは13日、新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」に対するスプートニク・ライトの有効性の分析に関する結果を発表した。ガマレヤ研究センターは、スプートニク・ライトの有効性の分析に関する論文を医学分野のプレプリントサーバーmedRxivに登録した。今週中に公開される。
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I. 単独ワクチンとしてのスプートニク・ライトの有効性

論文によると、スプートニク・ライトを単独で接種した場合、 接種から3カ月間のデルタ株に対する有効性は70%。60歳未満 での有効性は75%。
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スプートニク・ライトは、 ワクチン接種後のデルタ株に対する有効性が5カ月後に大幅に低下 (50%未満)したという結果が得られたいくつかの2回接種のワ クチンよりも優れた効果をみせた。
またスプートニク・ライトの単独接種は、 重症化や入院に対してもはるかに高い効果を示した。
分析は、スプートニク・ライトの単独接種を受けた2万8000人 のデータに基づいている。ワクチン接種を受けていない対照群56 0万人と比較した。使用されたデータは、2021年7月にモスク ワで収集された。

II. ブースター用ワクチンとしてのスプートニク・ライトの有効性

スプートニク・ライトは、接種の容易さや、 ブースターとして使用した場合のより柔軟なワクチン追加接種スケ ジュールなど、多くの重要な利点を持っている。
デルタ株に対する他のワクチンのブースター用にスプートニク・ ライトを使用した場合の有効性は、スプートニクVのデルタ株に対 する有効性に近くなる。感染予防効果は83%超、 入院を防ぐ効果は94%超。

III. スプートニク・ライトおよび同ワクチンと他のワクチンの組み合わせ研究に関する実際のデータ

スプートニク・ライトは、世界で初めて新型コロナウイルスワクチンとして承認されたスプートニクVの1回目接種の成分であるヒトアデノウイルス血清型26をベースにしている。スプートニク・ライトは15カ国以上で承認され、さらに30カ国で承認手続きが進められている。同ワクチンは、インドの世界最大手のワクチンメーカー「セラム・インスティチュート・オブ・インディア」を含む、RDIFの国際パートナーによって10カ国以上(インド、中国、韓国、ベトナム、メキシコ、アルゼンチン、セルビア、トルコなど)で生産される予定。
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一連の国における実際の接種データは、スプートニク・ライトの安全性と高い有効性を証明した。特に、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの保健省は、スプートニク・ライトについて、高齢者の有効性が78.6~83.7%であることを確認した。パラグアイ保健省も、国内のワクチン接種キャンペーンで、スプートニク・ライトの有効性が93.5%であることを明かにした。
その安全性と有効性により、スプートニク・ライトは現在、多くの国で単独で使用されたり、または他のメーカーのワクチンとの組み合わせが研究されている。
スプートニクVは、異種促進アプローチ(1回目の接種の成分としてヒトアデノウイルス血清型26を使用し、2回目の接種の成分としてヒトアデノウイルス血清型5を使用する「ワクチンカクテル」)をベースにしている。
このアプローチは、コロナウイルスに対するより長期的かつより強力な免疫を形成することに成功した。RDIFは、スプートニクVの1回目の接種成分と他のワクチンを組み合わせる研究を共同で行うため、他のワクチンメーカーとのパートナーシップを提案した。
現在、こうした研究は、特にロシアやアルゼンチン、アゼルバイジャン、アラブ首長国連邦で実施されている。
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特に、ロシア直接投資基金やアルゼンチンの保健省、科学省、国立科学技術研究評議会は、免疫反応および異種混合接種の安全性を評価するための研究に取り組んでいる。この接種はスプートニク・ライトとアストラゼネカ社およびシノファーム社、モデルナ社のワクチンの組み合わせで、ブエノス・アイレスの州と市、また、サンルイスやコルドバ、ラ・リオハの各州で生産されたものが対象となる。当初の研究結果では、ワクチン関連の重い副作用を伴わない、安全性の高い組み合わせが確認された。
アゼルバイジャンで行われた臨床実験でのスプートニク・ライトとアストラゼネカ社製ワクチンの混合接種に関する中間報告では、新型コロナウイルスのスパイク・タンパク質に対する抗体が検査協力者の全員で確認がされたことが示された。また、ワクチンの混合接種は、ワクチン接種後の強い副反応またはコロナ感染例が確認されない、高い安全性が示された。
ガマレヤセンターのデニス・ログノフ副所長は、次のようにコメントした。
「新型コロナのデルタ株は、感染が広範に広がった危険な変異株の1種と言える。ガマレヤ記念国立疫学・微生物学研究センターの論文で発表されたデータ分析は、スプートニク・ライトがワクチン接種の数ヶ月後も高い効果を維持していることを明らかにした。研究の過程で得られた結果は、これまで科学誌に発表された他の一連のワクチンの結果より優れた内容を示した。接種1回タイプのワクチンは、予防接種が低い水準に留まっている国々にとって効果的な解決策となっている。また、スプートニク・ライトは、既存の集団免疫の維持のためブースターとしての使用で成功する可能性がある」。
ロシア直接投資ファンドのキリル・ドミトリエフCEOは次のように語った。
「接種1回タイプであるスプートニク・ライトの新型コロナウイルスのデルタ株に対する効果は、一連の接種2回タイプのワクチンの効果よりも著しく優れた結果が示された。重要なのは、ガマレヤセンターのデータが、接種1回タイプのスプートニク・ライトはコロナウイルスに対し非常に有効なワクチンの1種となっていることが確認されているという点を示していることだ。このことは他の多くの研究によっても示されている。スプートニク・ライトは、単独でも、他のワクチンと組み合わせて使用した場合でも、安全で高い効果が得られる。このワクチンは、国民の免疫確保において柔軟性を保障し、初期の免疫形成と、当初別の種類の予防接種を受けた人に繰り返し効果的なワクチン接種を受けることを可能にする。その高い安全性と効果を考慮すれば、スプートニク・ライトは世界でもっとも優れた万能性のあるブースターとなる可能性がある。ロシア直接投資基金は、積極的にスプートニク・ライトと他のワクチンの混合接種の研究を支援しており、また、独立した国際的な研究者や研究機関を新型コロナウイルス用ワクチンの安全性と効果に関する応用研究への協力のために招待している」。
ロシア直接投資基金は、2011年に創設された政府系基金であり、信頼が高く、国際的な金融および戦略的投資家らと共同で主にロシアで株式資本への共同投資を行っている。同基金は、ロシア経済への直接投資の媒介役として機能している。同基金のマネージメント会社はモスクワにある。現在、同基金は総額2兆1000億ルーブル(約3兆3196億円)におよぶ80以上のプロジェクトを諸外国のパートナーと成功させており、ロシア連邦の95%の地域をカバーしている。ロシア直接投資基金のポートフォリオ企業では100万人超を雇用し、その利益はロシアのGDPの6%超を占めている。同基金は、18ヶ国以上の主要な国際的な共同投資家らと共同戦略パートナーシップを確立しており、その総額は400億ドル(約4兆5483億円)を超える。関連情報はアドレス「rdif.ru」を参照ください。
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