これに関連し、「スプートニク」からの取材に応じた遼寧大学日本研究センターの主要研究員である陳洋氏は、演習は時宜にかなったものとは言えず、ASEANサミットの友好的な雰囲気を壊すものであるとの考えを示している。
「アジア太平洋諸国は新型コロナウイルスによるパンデミックと懸命に戦いながら、経済の建て直しを図っているというのに、日本と米国は南シナ海の海上の安全を守るための合同軍事演習を行っているのです。
このような行動は、平和、安定、復興への道を模索している地域を逆方向に押し戻すものです。日米の合同軍事演習は、疑いなく、東アジアサミットとASEANサミットの雰囲気に影響を及ぼします。米国は、日本と合同演習を実施することで、アフガニスタンから軍を撤退させたことによって信頼を失った米国が、同盟国を見捨てることはないとアピールしようとしているのです。しかし、いずれにしても、この演習が時宜にかなったものでないことは明らかです」。
一方、サミットの結果について言えば、中国とASEANは、パンデミック後の地域の経済を回復させることを目的に、協力を深化させることで合意した。とりわけ、中国は包括的復興枠組みとこの実現を支持する立場を示した。またこれに向け、両者は公衆衛生、広域経済統合、デジタルトランスフォーメーション(DX)、持続可能性(サステナビリティ)などの分野における協力を強化する。中国はまた、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)の早期発効に向けても協力していくと約束した。
これに対し、米国のバイデン大統領はASEAN・米国のサミットの中で、ASEAN加盟国に対し、米国政府の要人に個人的に地域の国々を訪問させる用意があるとし、「わたし自身が直接、国を訪れる可能性もある」と述べた。米国大統領は2017年からこのような会議に参加しており、このことは、米国が地域の関係構築におけるASEANの重要な役割を認めていることを反映したものである。
日本の岸田文雄首相は、ASEANの交流開始50周年にあたる2023年に、日本でASEANの特別首脳会議を開催することを提案している。岸田首相は、このような特別首脳会議は、日本とASEANの関係を新たなレベルに引き上げられるものとなるだろうと述べた。
ASEANが中心的な役割を担う地域において影響力を高めようとする中国、米国、日本の争いも、近い将来、新たな段階に押し上げられるかもしれない。