ヴェイヨン氏がカメラに収めるのは廃墟となった学校や病院、城に工場、教会。注目すべきなのは、朽ちていく建物や埃に覆われた床、生い茂る草木などかつて生命が存在していた場所を徐々に侵していく自然の姿だ。廃墟の写真はこうした自然の強さと、人間が築き上げた建造物の脆く儚い側面が同時に強調される。ヴェイヨン氏は自身の写真を、新しい種類の「メメント・モリ(ラテン語で「死を忘ることなかれ」という意味の警句)」の役割を果たしていると語る。全てのものには終わりがあり、存在する限りは楽しまなければならない。そして、我々が持つチャンスは永遠ではないこと、これ以上地球に脅威をもたらさないために、地球を大切にしなければならないことを写真集を通して伝えたいとしている。