ワシントン大学がモデルナ、ファイザー、ジョンソンエンドジョンソンのいずれかのワクチンを接種した22歳から66歳までの37人の血漿サンプルを採取して調べた結果、SARS-CoV-2のデルタ株、カッパ株、デルタ・プラス株の各変異体は接種によって産生された中和抗体の能力を低下させることがわかった。中でも最も強力に抗体の中和能力を低下させたのはデルタ・プラス株だった。
研究者たちは、コロナウイルスを細胞に感染させる主なツール役であるSタンパク質の変異を3種の変異株ごとに調べた。その結果、デルタ株ではタンパク質のN末端ドメイン(NTD)に「劇的な変化」が起き、より柔軟になることで抗体を回避していることがわかった。
一方でコロナウイルスの変異体と11種類の抗体の相互作用の分析では、最後の抗体の1つであるS2X303にはコロナウイルスのいくつかの変異株を「捕まえる」能力があることがわかった。S2X303のウイルスの中和方法を分析したところ、他の抗体とはほぼ90度異なる特異な角度でN末端ドメインに結合することがわかった。研究者たちは、今回の発見がコロナウイルスに対する新しいワクチンの開発の一助となるよう期待を表している。
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