2014年冬季五輪の会場で、男子シングルのスター、羽生結弦選手が初の金メダルを獲得した有名なアリーナ「アイスバーグ」で、今、フィギュアスケーターたちが競い合っている。
とはいえ、南国の穏やかな風景や大会の祝祭的雰囲気もこちらをリラックスさせてはくれない。新ルールで利用上限は30%に制限されたため、観客の入りはまばらで、いたるところにマスクや除菌剤が設置され、距離の順守を呼びかけるアナウンスが繰り返されている。このすべてがコロナウイルスの厳しい現実を常に思い起こさせている。アスリートへのアクセスは厳重に制限されており、プレスは選手に接近できず、選手もサインを乞うファンにも答えることはできない。現在、ほとんどのジャーナリストはオンライン形式でしか質問することができない。これはもう、貴重な機会としか言いようがない。
GP第6戦はスタートしたばかりだが、すでに誰もが知っているのが羽生選手の不在だ。羽生選手はほぼ大会前夜に怪我を理由に出場断念を発表した。この決断がいかに間際に行われたものであったかは、ソチに詰めかけた日本人記者の数が他国のジャーナリスト全員を合わせてもそれを上回るという事実が物語っている。
いや、ひょっとすると日本のプレスの取材目的は、女子シングルの熾烈な戦いということもありうる。 エテリ・トゥトベリーゼ氏の薫陶を受け、4回転ジャンプを武器に持つカミラ・ワリエワ(15)、マイア・フロミフ(15)、アレクセイ・ミーシン・コーチの教え子でフィギュア界の「女帝」ことエリザベータ・トゥクタミシェワ(24)がここ、ソチで火花を散らす。
ワリエワとトゥクタミシェワだが、すでにGP第2戦のスケートカナダのステージで競いあっている。戦いを制したのはワリエワで、総合で265.08点を獲得し、2つの世界記録を樹立した。追うトゥクタミシェワはバンクーバーでは銀メダルを獲得。2つのトリプルアクセルをノーミスで決め、総合で232.88点を獲得している。
このステージに日本からは松生 理乃(17)、友野一希(23)、田中刑事(27)が参加している。
なお、世界チャンピオン2冠のロシアのエフゲニア・メドベージェワもここ、ソチに来ている。ただし、どのような役がふられているのかはわからない。出場は当然ありえないが、単なる観戦が目的ではないはずだ。メドベージェワは以前、GPのシニアで自分は「仕事をする」と口にしていたものの、どのステージのことを指しているのかは明らかにしていない。
ソチのGP第6戦は、12月9日から12日まで日本の大阪のGP最終戦に向けた最後の大会となる。
フィギュアGP第6戦ロステルコム杯の出場選手、入賞の確率などについての記事はこちらからお読みください。