チュマコフ氏はロシア科学アカデミーの準会員で、エンゲルハルト分子生物学研究所の細胞増殖研究室長。同氏は、「もしかしたら自然界が新型コロナウイルスの生ワクチンを作ったのではないか、という楽観的な見方がある。つまり、このウイルス株に感染して回復した人は、病原性のある他の変異株に対して耐性をもつようになるのだ」と語っている。
同氏は、オミクロン株の出現によって、人類はロックダウンを実施せずにすむかもしれないとの期待を寄せている。
その一方でチュマコフ氏は、オミクロン株が他の変異株を駆逐するかどうかは、まだはっきり分かっていないと指摘している。
研究者らは11月20日、ボツワナと南アフリカで新型コロナウイルスが細胞に侵入する際に必要なスパイクタンパク質に32個の変異があるウイルス株「B.1.1.529」が出現したと発表した。研究者らによると、スパイクタンパク質のゲノムにみられる多くの変異は、この株は高い感染力を持ち、実効再生数(1人の感染者が平均して何人に感染させるかを表す指標)が大きくなる可能性や、回復者やワクチン接種者が保持している抗体に対して抵抗力があることを示しているが、これらの点に関して最終的な結論を出すにはまだ早いという。
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