米国は7日、中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害などを理由に、2022年北京冬季オリンピック・パラリンピックに政府関係者を派遣しないと表明した。その後、米国に続き英国、オーストラリア、カナダもこの「外交的ボイコット」への参加を表明した。
バッハ会長はIOC執行委員会による2日目の会議後に開催された記者会見で、五輪のボイコットについて次のように発言した。
私は中国の立場を受け入れるだろうか。決してそんなことはない。私は誰の立場も受け入れない。これが IOC の使命である。さもなくば我々は、あらゆる人を団結するという根幹の目的を達成できない。政治的にいずれかの立場を支持するようになれば、205あるいは206の五輪委員会をすべて大会に関与させることは不可能になる。これは大会の政治化を意味し、これは大会の終わりである。かつてもそうだった。ローマ皇帝が政治を持ち出したことで五輪は終わったのだ。
バッハ会長によると、古代ギリシャ人は五輪のさらなる継続のためには、政治的中立が必要であることを理解していたという。そのうえで、政治的中立は現代において重要性を更に増していると発言した。
またバッハ会長は中国共産党の元高官による性暴力被害を訴えた後に行方不明となっていた女子テニスの彭帥選手(35)を巡る状況についても会見なので言及した。バッハ会長は彭帥選手との連絡を継続し、支援を引き続き実施する姿勢を示した。そして選手の人権保護に向けて努力し、その物理的安全を確保することが最重要課題であると強調した。
先にホワイトハウスは北京五輪に公式代表団を派遣しない姿勢を表明していた。その理由として、中国共産党が新疆ウイグル自治区で進めているジェノサイドや、その他の人権侵害を指摘した。なお、外交ボイコットは選手団の派遣には影響しない。
これに対し中国政府は、米国による外交ボイコットが五輪の開催に影響を与えるものではないと答えたほか、米国政府の代表団は当初より招待していないとも表明していた。
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