新型コロナウイルス

研究者らが解明 T細胞は抗体以上に新型コロナを抑制

中国の研究者らは、デジタルモデリングにより、細胞性免疫が特定の抗体よりもコロナウイルスに対抗する上でより重要な役割を果たしていると判断した。研究結果が「Royal Society OpenScience」誌に掲載された。
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研究者らによれば、細胞性免疫はT細胞の存在によって決定されるが、この細胞は体内に侵入するウイルスのような異物に反応する白血球の一部となっている。T細胞は「敵」を検出するとすぐに免疫システムにシグナルを送り、これにより、外来抗原を運ぶ細胞を撃退するメカニズムが発動される。中国の研究者らは、数百人の新型コロナ患者の精密な臨床データをベースに、コロナウイルス感染による重症化と死亡の予防でT細胞が果たす役割を明らかにする数理モデルを開発した。
研究の過程で研究者らは、抗体と比較して、T細胞が新型コロナウイルスを完治する上でより重要な役割を果たしていると確信した。軽症患者ではT細胞がウイルス粒子を最大96.5%駆逐する。体内にT細胞が欠如した場合、抗ウイルスおよび抗炎症免疫が低下し、新型コロナによる主な死因の1つであるサイトカインストームの発症につながることも判明した。
研究の結果、研究者らは、抗炎症反応の効果やサイトカインの抑制、損傷した組織の回復の早さは、身体が生成するT細胞の量に直接関係すると結論付けた。死亡に至った患者では、T細胞の生成抑制が顕著に見られた。研究者らは、彼らの発見により細胞性免疫を強化する新世代ワクチンの開発が開始されることを期待している。
通信社「スプートニク」は以前、細胞性免疫が抑制される理由が遺伝的要因にあるという可能性を示したロシア研究者の報告を紹介している。
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